【かがみの孤城】人間は未来を過小評価する

※ネタバレあり

『かがみの孤城』、Amazonプライムビデオでレコメンドされてて気になったから観てみた。

ちゃんと最後まで観るべきタイプの映画

1年以内に鍵を探せば願いを叶えてもらえるのに、城の中の環境に順応して居心地が良くなってくつろいでしまう子どもたちに、じれったくなってくる。人間は過去を過大評価して未来を過小評価すると言うけど、本当にその通りやと思うし、子どもも大人も変わらんのやなぁと思った。(自身が子どもの頃はもっとハングリーやったぞ……)

そしてどこにでもいる、徒党を組んで因縁ふっかけたり濡れ衣着せたりする「あたおか」のいじめっ子たちも、こういうアニメやドラマおなじみやなぁと思いつつ観てた。
加害者は常に加害者意識など欠片もなく自己を正当化し、自分たちのしたことを都合よく忘れ、なんなら記憶の書き換えがされてるんじゃないかってくらいシリアスに被害者ぶることさえある。仮に正攻法で外堀から埋めて逃げ場を塞いで論理で追い詰めたら、ヒステリックを起こして会話にならなくなり、元は被害者の側が悪者にさえされ得る。

「生粋あたおかは無敵やなぁ~」

と改めて思った。ウケ狙いで犠牲を作らない配慮をしてあたおかを演じることはあれど、ガチで負の感情にまかせてあたおかムーブするなんて、絶対に関わりたくない全力で避けたいタイプの人間たちだと思う。だけど現代社会でもほんとどこに行ってもどんな組織にも居る。

因果を辿れば、あたおか加害者はなんらかの被害者で、愛情と教養のどちらかまたはどちらもが欠乏してるから情状酌量の余地はあるんだろうけど、渦中で加害されてる側からしたら社会のネガティブの“最終しわ寄せ”を食ってるわけだからたまったもんじゃないわなぁ……そんなことを考えながら胸糞シーンを観てた。

中盤以降まではストーリーが進むテンポが若干遅い気がして、あのじれったさや胸糞感が終盤で一気に報われるんだけど、辛抱できない人もいるやろなぁ~と思った。なにせYouTubeやTikTokのアバン(冒頭キャッチ)も年々短くなっていて、5秒で掴まないと視聴者が離脱するとさえ言う人もいる。

「“待て”ができる人か、じっくり味わう系の人にはご褒美がある」みたいな映画、かがみの孤城。どれくらいの視聴者が「願いを叶えられる」んかなぁ。

『かがみの孤城』を観る

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