ゲームでうつ病が治る?~フロー状態とテトリス効果

発達・ギフテッド

ゲームでうつ病が治ることはないけど、症状が緩和したり、治療の助けになることはある。

今回はその仕組みについて書いていくよ。

フロー状態からのゾーン~よだれが出るほどの集中~

カリフォルニア大学やオックスフォード大学の研究では、人間は、難しすぎず簡単すぎない問題や作業に頭や体を使い続けると、不安が緩和されることがわかってる。

集中が継続して、何度でも挑戦したいと思えるくらいの課題レベルということやね。

その絶妙なバランスによって集中が継続してる状態、平常時にリラックスしてるのに無意識に集中し続けてる状態を「フロー」(没頭状態)って言うのね。(水の流れるような状態という意味で)。

そしてフロー状態の時に、異次元の究極集中を発揮してる状態を、ゾーン忘我状態と言う。

フロー状態を構成する要素8つ

いいゲームでは以下の8つの現象が一気に起こってて、フロー状態に入れるんですよ~。

1)挑戦と能力のバランス
2)行為と意識の融合
3)明確な目標
4)明確なフィードバック
5)活動への注意集中
6)統制感覚
7)自意識の喪失
8)時間感覚の変化

これら8つを、認知科学や行動心理学では、以下のように説明できるねん。

1)自己効力感
2)整合性の一致
3)ゴール(成功体験)
4)エンハンシング効果
5)カクテルパーティー効果
6)自己決定感
7)マインドフルネス
8)クロスモーダル現象

難しいことは抜きにして、どれも幸福感を得るために必須のこと。

ゲームでフロー状態に突入するカラクリ

ゲームって、効果音とか音楽とかシステム全体で、プレーヤーを3~5秒に1回くらい褒めるようになってる。

人間がゲームを遊びたい動機は「楽しいから」やん?

で、楽しいってのは、自分の操作がうまくなる成長や、気持ちいい音やBGMや、目で見て美しいとか面白いと感じるグラフィックとかアニメーションが主な要因やん?

これらの「悦」をプレーヤーに与えることを「褒める」と表現してるんだけど、とにかくゲームはプレーヤーを褒めちぎるように作られてる。

ゲームプレイ中に失敗してもそれはもちろんシステムとして折り込み済みで、少し難易度を下げたりとか、さらに挑戦したいと思えるような要素が組み込まれてて、さっき書いた難しすぎず簡単すぎない状況を見事に作り出す。

その状況がフロー状態を起こしてゾーンに突入する、というカラクリ。

そして、そういうゲームバランスが見事なゲームが売れる。

常に褒める&認める=最強のうつ治療

少し話は逸れるけど、人間って否定されたりネガティブな感情を受け取ったりすると、肯定されることやポジティブを向けられる時と比べて7倍以上影響を受けやすい。

そういうマイナスな環境で生きてると2週間ほどで脳のポテンシャルが6割ほど減ってしまう。

それで脳が萎縮してうつ病とか精神疾患になっちゃうわけやから、要はメンタルをよくするためにはそれと真逆の影響を脳にめちゃくちゃ与えなきゃいけない。

つまり、称賛したり肯定したりをめちゃくちゃ脳に与え続けるってのをずーーーーっと繰り返すってのが、精神疾患を克服するためには必須条件やねん。

アル中・ヤク中・PTSDを救うテトリス効果

うつに対して有効なのは、称賛と肯定を繰り返すこと。

そこで、テトリス効果ってのがある。

テトリス効果?

テトリスっていうパズルゲームをプレイすることで・・・

  • 抗不安薬なみにうつ病が軽快する
  • アルコールや麻薬の禁断症状
  • PTSDのフラッシュバックまで緩和
  • 健康な人なら脳のポテンシャルを上げる

つまり、自分が主体的に何かをして称賛・肯定されることで「フロー・ゾーンに入り続ける」ってのが、脳にとってめちゃくちゃ大切ってこと。

僕は、これらの事実を「テトリスエフェクト」っていう3Dのテトリスで初めて知った。

何を隠そう、テトリスエフェクトの中に「ゾーン」っていうシステムがある。

たとえばマトリックスって映画で、一瞬だけ自分以外の時間が遅くなって自分だけが早く動けるみたいな状態(=バレットタイム)があるんだけど、まさにあれをテトリス内で再現した感じ。

人間って、楽しい時間はあっという間に過ぎてイヤな時間は長く感じるけど、これは結局、ゾーン状態に入って時間を忘れてるからなんだけど、ゾーンに入る方法はなんでもいいっていうめちゃくちゃ有益なハウツーなわけや。

僕は、実は10年以上前にこれを別のゲームで体感してた。

マインスイーパですらフロー状態に!

当時、いろんなことが重なって抑うつとかPTSDとかが出始めてて、どうもポテンシャルを発揮できないなぁ~とかってメンタル崩れててんけど、その頃、毎日5時間くらいテトリス……じゃなくて、マインスイーパしてた。()

仕事でも空いた時間にマインスイーパ、帰ってから作業通話に付き合ったりしながらマインスイーパ、寝る間も惜しんでマインスイーパ。

めちゃくちゃ手軽で、そこそこ頭を使って、タイムアタックや旗使わずクリアで自分のテクニックや処理速度がリアルタイムでガンガン反映される。

のちに、やっぱりマインスイーパにも抗うつ効果があるとわかった。

「限界まで焦るほど追い込んで集中してマインスイーパをする」っていう僕のプレイ方法が、テトリス効果になってゾーンに入って、自分でフロー状態を生み出してたんやな~と今は思う。

かなり助かったから。

ゲームやゾーンはうつを「根治」しない

ゲームは、失敗しても怒られないし、自分が死ぬわけでもないし、ある意味安全が保証された状態で限界を突破できる数少ないゾーン突入法やと思う。

ただ、残念ながらゲームでもゾーンでも、精神疾患を「根治」はしない。やっぱりどこまでいっても対症療法やから。薬と同じで、一時的に症状を抑えるだけ。

じゃあ意味がないのかってそうじゃなくて、対症療法と同時進行で根治療法を行う必要がある。

体の病気は根治療法って今のところ風邪すら存在しないんだけど、心の根治療法はあるねん。

うつの心はいつも安らぎを求めている

うつの心は、誰からでもいいからとりあえず称賛と肯定をずーーーっと注ぎ続けてもらう=対症療法をしながら、自分の価値を論理的に理解して自尊心を取り戻すことで治る。

僕自身、前者(対症療法)はほとんどなかったけど、人からの称賛や肯定の代わりにゲームによって多少補われてた部分があって、感謝してる。

とか言いながら、人生エクストリームハードモードで完全自殺実行寸前まで言ったから偉そうには言われへんけど、少なからずゲームのおかげで正気を保って、根治のためのたくさんの学びに至れたのは間違いなくて、マジ感謝してる次第。

まとめ~ゲームは裏切らない!~

ゲームは、さまざまな効果・現象によって、うつどころかアルコールや薬物の禁断症状と、PTSDの症状まで緩和する。

ただ、根治するわけじゃないから、飽くまでも治療のサポートとして使用するのが良策。

人間は、どんな関係性であろうが、ブチ切れてきたり嘘ついてきたり騙してきたり嫌味や嫉妬をぶつけてくるし裏切ってくるし利用してくるし変化して離れてったりする。
なかなか、称賛や肯定を与え続けてくれる人なんかおらん。

一方で、運動と勉強、そしてゲーム(コンピュータ)は、絶対に裏切らない(`・ω・´)

振り回されず、過信しすぎず、ゲームを上手に利用するのが大切。

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