2022年現在、主にインターネット上で「バイアス」という言葉をよく聞くようになった。
思考、価値観の偏りという意味の心理学・行動経済学の用語だけど、何かにつけて○○バイアス△△バイアスと、一体いくつあるんやと疑問に思ったから調べてみた。
確認できたのは18種類で、もしかしたら他にもあるかもしれん。
ざっと全部を紹介してから、このバイアスとやらにどう対処したらいいのかを最後に書いておく。
バイアスが多いと、人生がハードモードになっちゃうからね。
- 感情バイアス(Emotional bias)
- 現状維持バイアス(States quo bias)
- 日常性バイアス(Normalcy bias)
- 生存者バイアス(Survivership bias)
- 無意識バイアス(Unconscious bias)
- 後知恵バイアス(My-side bias)
- 確証バイアス(Confirmation bias)
- 内集団バイアス(In-group bias)
- 外集団同質性バイアス(Out-group homogeneity bias)
- システム正当化バイアス(System justification)
- 自己正当化バイアス(Self-justification)
- 自己奉仕バイアス(Self-serving bias)
- 自己中心性バイアス(Egoistic bias)
- 一貫性バイアス(Consistency bias)
- 対応バイアス(Correspondence bias)
- 投影バイアス(Projection bias)
- アンカリングバイアス(Anchoring bias)
- 悲観バイアス(Negativity bias)
- Q.結局、バイアスを外すにはどうしたらいいの?
感情バイアス(Emotional bias)
- 己に心地よい感覚をもたらす肯定的な感情効果のあることだけを信じ、相反することは根拠があっても信じない。
- 好ましくない、精神的苦痛を与えられるような厳しい事実を受け入れたがらない。
現状維持バイアス(States quo bias)
- 変化が怖いから正しい情報や肯定的な情報を受け入れたくない。
- 知らないことを知るのは面倒だったり、失敗することなど考えると受け入れたくない。
日常性バイアス(Normalcy bias)
- 何か事件や災害が起こっても「まあ大丈夫だろう」と捉えてしまう。
- 裏切りに遭っても「まさか自分がそんなはずはない」と捉えてしまう。
生存者バイアス(Survivership bias)
- 大勢の死者が出た事故などが起きても、生存者の話を聞くと、大したことではなかったと考えてしまう。
- 個々の能力や環境を加味せず、「私ができたのだから誰でもできる」と考えてしまう。
無意識バイアス(Unconscious bias)
- 敵意も悪意も故意もないが、自分の中であまりにも当然すぎるがゆえに、正しいかどうかすら疑わない。
- 髪の長い若い人と聞いて女性を想像したり、総合病院の院長先生と聞いて男性を想像するなど。
後知恵バイアス(My-side bias)
- 過去の不可避だったトラブルの話を聞いた後で、「○○すれば避けれたでしょ」と勘違いする。
- 当事者でもなく、似たような経験もないにも関わらず、人の置かれた状況などを決めつけてしまう。
確証バイアス(Confirmation bias)
- 何かを証明しようとした時、反証を探さずに都合のいい肯定的な情報だけを集めてしまう。
- 「ビタミンは体にいい。ビタミンCの点滴で癌が治った研究もある。ビタミンAは目にもいい。だから間違いない」などの偏った情報のみで断定してしまう。
内集団バイアス(In-group bias)
- 己が属している集団に対して好意的・肯定的になる傾向。えこひいき。
- 普段は仲の悪い同士でも、共通の敵が現れると協力的になる。
外集団同質性バイアス(Out-group homogeneity bias)
- 己が属している集団の外に興味がなく、外の集団すべてをひとくくりにしてしまう。
- 日本人は△△、女は□□で男は××など、カテゴリや主語が中途半端に大きくなる。
システム正当化バイアス(System justification)
- すべてを自己責任で片付けてしまう。
- 社会システムの欠陥による生きづらさをも自分の責任として負ってしまう。
自己正当化バイアス(Self-justification)
- 自分にとって都合の悪い・興味のない情報には大して価値がないという思い込み。
- 「自分」のやり方や意見こそが正しく、その他は間違っているという思い込み。
自己奉仕バイアス(Self-serving bias)
- 成功は自分の手柄、失敗は自分以外の何かが原因と捉えてしまう。
- 「ダイエットがうまくいけば自分の努力の成果、リバウンドしたら環境のせい」「受験に合格すれば自分の成果、落ちれば家族のせい」など。
自己中心性バイアス(Egoistic bias)
- 自分が知ってることは当然、相手も知ってるはずだという思い込み。
- 自分ができることは当然、相手もできるはずだという思い込み。
一貫性バイアス(Consistency bias)
- 自分以外の人間の振る舞いには一貫性があると勘違いしてしまう。
- 目の前でスマホをいじってる人が居たら「この人は普段から人を蔑ろにするんだ」と思ってしまうなど。
対応バイアス(Correspondence bias)
- 依頼や指示など外的要因によって行動した人に対して、その人の心理的要因によって行動したと捉えてしまう。
- 悩んだり迷ったりしていても、それはその人が故意に選んでるという思い込みなど。
投影バイアス(Projection bias)
- 現在の状況がこの先もずっと続くと拡大解釈し、未来に向けた適切な決定ができない。
- 空腹時に買い物に行くと必要以上に買い込んでしまうなど。
アンカリングバイアス(Anchoring bias)
- ある1つの情報に感情や思考が引っ張られて、正常な見極めができない。
- 1万円の商品があったとして、先に10万円の商品を見てると、安く感じてしまう。
悲観バイアス(Negativity bias)
- 人は楽観的な情報より悲観的な情報に注意が向き、記憶にもより強く残る。
- 「人の不幸は蜜の味」も「勝って兜の緒を締めよ」も同じ。
Q.結局、バイアスを外すにはどうしたらいいの?
ここまで18ものバイアスを書いてきたけど、もちろん全部を把握してる人の方が少ないだろうし、いちいちこんなもの毎日気にして生きてられないのが正直なところだと思う。
しかもバイアスを完全に外すことは、脳機能の無意識な部分が9割以上という研究もあるから、ほぼ不可能と思っていい。
じゃあもうどうしようもないのかというと、そうじゃない。
今回紹介した一切合切のバイアスの影響を最小限に抑える方法がある。
それは、ジャッジしない勇気を持つこと。
全てのバイアスに共通してるのは、少ない情報でなんらかの大きな判断を下してしまってるということ。
何かを突き詰めて考えたり、スキルや知識を身につけたことがある人ならわかると思うけど、断言・断定するってとてもむずかしい。
真面目な研究者ほど「断言・断定」を控える傾向にあるのは、たとえそのつもりがなくても高確率で嘘や矛盾になってしまうから。
嘘や矛盾は人間の苦悩や不幸の根本原因だけど、せかせかした社会が「人の焦り」に拍車をかけて、断言・断定を煽る形になってしまってる。
その結果、人と人との争いは絶えないし、防げるはずの失敗や、事故や事件も防げなかったりする。
一人ひとりが、なんでも早々にジャッジしない勇気を持つこと、これが一番カンタンで、バイアスの影響を最小限に抑える方法。
その上で、○○バイアスという概念があるっていう知識を頭の片隅に置いておくことで、人に攻撃された時のダメージをも軽減できるから、自己防衛として覚えておくとよきです。