僕は懐古主義が苦手だ。「あの頃はよかった」という、いまここにないもの・もう二度と戻らないもののために、性懲りもなくいまと未来を消耗し続ける行為に思えてならないから。だから昨今のアニメやゲームのリメイクやリマスター、漫画の実写化ブームには複雑な心境になる。
「作れば売れるでしょ」
という開発・制作サイドのヨコシマな気持ちが1mmもないか?という一抹の疑念を晴らすのは絶対に無理だと思う。
それでも、新しい技術をもってして色褪せない価値をさらに高めることができる真のリメイクなら、魂を感じる。
そんな気持ちで、今回発売されたHD-2D版DQ3というリメイク作品に手を出した。
結論、カラメル包装やラミネートに惑わされる子どものままでいられたなら感動で終えられるけど、時代や商流をメタ的に見る大人には絶望も感じ得るリメイクだと感じた。
HD-2D版DQ3をプレイして抱いた感動10選
- グラフィックがキレイ
- 背景の情報量が格段に増えたから臨場感がある
- ボイスがかなり飽き対策になってる
- たねがめっちゃ手に入る
- どこでもいつでもリレミト&ルーラ
- BGMがフルオーケストラ
- 弱点と耐性がわかるダメージ表記
- バトルスピード超速の快感
- お手軽キャプチャ(steam版)
- ゲーム安くなったなぁ
グラフィックがキレイ
言わずもがな、パーティクル(きらきら粒子)や、レイトレーシングかな?光の描写がめちゃくちゃキレイ。川の流れや海の波立つ感じも、ずっと見てられるくらい美しい。
背景の情報量が格段に増えたから臨場感がある
お城や神殿なんかで顕著だけど、背景のディテールが細かくて、
「あぁ~そういう雰囲気だったんだ」
ってなることが多い。2Dはドット絵で、いわばデフォルメだから建造物が簡略化されてて、なんとなくの雰囲気しか掴めないんだけど、3Dで小物や家具や銅像なんかもリアルに描写されてると空気感や臨場感がたっぷり伝わってくる。
ボイスがかなり飽き対策になってる
戦闘中の叫び声や重要なイベントシーンではボイスが入ってて、攻撃や被ダメの時のボイスはいくつかパターンがあるから、レベリングやレアドロ狙いとか作業になりがちな時も、飽きにくくなってる。
たねがめっちゃ手に入る
シリーズではおなじみの苦行?である「たね集め」が、今回はすごいラク。敵からもそれなりの確率で落ちるし、フィールドでキラキラ光ってるところで一気に2~3個は手に入ったりする。
どこでもいつでもリレミト&ルーラ
洞窟の中でも、建物の中でも、どこでも頭をぶつけずにリレミト&ルーラできる。
しかも消費MPゼロ。時代、だなぁ。
BGMがフルオーケストラ
これまで何十回とアレンジされてきたであろうすぎやまこういち先生のBGMだけど、やっぱりFC→SFC→ガラケーと変遷を経てこの時代にフルオーケストラでDQ3のBGMを聴きながらプレイできるのは、感慨深いものがある。思い出補正の専売特許でもある。
弱点と耐性がわかるダメージ表記
敵の弱点属性を突いた時のダメージ表記が赤になり、耐性ありの場合は青くなり、会心の一撃は黄色で表されるからわかりやすい。バトルスピードをかなり速く変更できる分、視認性がよくないとバトル情報を見逃してしまうから、これはありがたい仕様。
バトルスピード超速の快感
ブーメランやムチ系の武器、全体・グループ魔法で攻撃した時に、旧作はいちいちモンスター毎のダメージモーションと表記を見なきゃいけなかったけど、今回は一気にダメージが表示されるように変更されてて、バトルスピードを最速にした時にテンポがめちゃくちゃ良くなってて気持ちがいい。レベリングもサクサクで最高。
お手軽キャプチャ(steam版)
Steam版でプレイしてると、気になったイベントや、偶然みつけたアイテムの場所をWindowsのスクショやOBSのキャプチャ機能ですぐに保存できる。これが意外に重宝する。
序盤では、目視で確認できるのに直接は行けない場所などがあって、後から行くときに「どこだったっけ?」ってなりがちだけど、予め全体マップを表示させた状態でスクショなりキャプチャなりしとくと、後から行くときにすぐ思い出せるし便利。
スーファミ時代だと、「◯◯大陸の南東の山に囲まれたところ」なんてノートにメモを取るか、ビデオデッキにRCAピンを繋いで録画するか、「写ルンです」で撮影するしかなかったわけで😨
ゲーム安くなったなぁ
HD-2D版DQ3は、Steam版がAmazonで6980円。SwitchとPS5ではパッケージ版・DL版を問わず税込7678円。最近の他のゲームよりは少し高い印象もあるけど、ROM時代に比べたら安い。
(2024.11現在の情報)
スーファミ版のゲームソフトって確かRPGだとどの作品も1万円近くしてた気がする。デフレの時代に1万円だから、いま思えばとんでもなく高価なものを欲しがってたんだな。親も複雑だったろうに。
HD-2D版DQ3をプレイして抱いた絶望5選
スマホゲーとグラフィック同等…?
上の画像は3年半前にApple Arcadeというゲームのサブスクサービスでリリースされた『FANTASIAN』の1カット。ファイナルファンタジーの生みの親である坂口博信氏が率いるミストウォーカーという会社のスマホゲーム。
スマホゲームなのに、実物のジオラマを撮影して作られたフィールドだからめちゃくちゃ美麗。海も、フォトリアルMAX。据え置きゲーム機向けのHD-2D版DQ3より美しいまである……。
昨今のゲームはほとんどUnrealEngineかUnityというゲームエンジンで作られてるから、写実性だけを考えればどのゲームでもFANTASIANくらいのクオリティは出せるはずだけど、今回のDQ3はここまでのクオリティではないのはなんでなんだろう。
上の画像はキングダムハーツ3という、DQ3と同じスクウェア・エニックスから2019年に発売されたゲームの1カット。5年前だけど、十分に美麗なグラフィック……。
SFCで真上視点だったのが少し斜め視点になっただけ
これを言っちゃおしまいで元も子もないんだけど、視点だけの話で言えば、ふと我に返った時に、スーファミで真上から見てたのをちょっと斜めから見てるだけ感が否めなくて「う、うーん…」ってなる。
飽くまでもHD-2Dなわけで、3Dマップを細かいところまで探索できたり物色できるわけじゃないし、「めちゃ綺麗なスーファミ感」がすごい。そんなこと言い出したらオクトパストラベラーもそうなんだけど。
オクトパストラベラー スクウェア・エニックス
カメラアングル固定て…
めちゃめちゃ作り込んであるんだから、左右30度ずつくらい回転できるようにしてくれてたら感動も倍増したんだろうけど、たまに主人公が柱の影に隠れたりアングル的に通行しにくいところがあって、HD-2Dというジャンルにこだわるがあまり犠牲になってること多すぎない?っていう寂しさがある。
タルやツボが背景かどうかわかりにくい
上の画像の左下に、タルとツボがあるけど、調べられるのはツボだけ。どれがオブジェクトでどれが背景なのかがイマイチわかりにくい。「神は細部に宿る」とは言うけど、余計な混乱を招く枝葉末節は必要なのかな~と疑問に思った。
なんやかんや2024年に2Dて…
上の画像は、2011年にドラクエ25周年記念としてWiiで発売されたDQ1・2・3のオープニングムービー。13年前なのに超美麗。これくらいの技術は2024年のスクエニさんになら朝飯前ってことがわかる。
DQ11くらいのグラフィックで、オープンワールドRPGでロト三部作をリメイクしたら爆発的ヒット間違いなしなんだけど、どうしてそれをせずHD-2Dに決まったのか。やっぱり僕より上世代の懐古主義層をターゲットにした時に、HD-2Dという選択肢がトップに来てしまうんだろうか。
まとめ テイルズ・オブ・ファンタジアはすごい
結論、テイルズ・オブ・ファンタジアがすげぇってことになるのかなと。😂
- スーファミの極少メモリ
- 疑似3Dのフィールド
- ぬるぬるリアルタイムバトル
- 技や術の名前をボイスで叫び
- イベントでもボイス入り
HD-2Dもビックリなクオリティを1995年に実現してるんだもん。
旧態依然な懐古主義は苦手だけど、温故知新で飛躍・前進していく分には、過去に先達が積み上げてくれた歴史は最大の教科書になると痛感する僕でした。
ロマサガ2リベンジオブザセブンのキャラモデリングがテイルズ調なのは少し違和感があって手を出せずにいる今日このごろ。
おまけ PCスペック
- OS:Windows 11 Home
- CPU:AMD Ryzen 5 PRO 4650G with Radeon Graphics 3.70 GHz
- GPU:NVIDIA GeForce RTX3060 GDDR6 12GB
- SSD:1TB(M.2) + 256TB(内蔵) + 1TB(外付けスティック型)
- RAM:32GB
- 電源:400W
このスペックでHD-2D版DQ3を、FHD60fpsで常時OBSで録画しながらプレイしてたけど、終始ヌルヌル動作だった。
未だに×と◯を押し間違えるから、もうSteamやめようかなと思ってたりする。