読むのがめんどくさい人は動画で倍速くらいでどうぞ。(それでも長い)
菌とアレルギーは密接に関係してる
人間の体には、100兆~1000兆匹とも言われる共生微生物がいます。体の至るところ、皮膚や粘膜、内臓などどこにでも菌やウイルスは居て、その中でも腸内の菌というのは人間の体質・性格にまで影響があるといことがわかってます。
もちろん、アレルギーなど免疫も例外ではなく、この腸内細菌の種類や数によって大きく左右されるものです。
しかも腸内細菌の種類や数は、人間が食べたものによって変化します。
今回は、僕の実際の腸内細菌の検査やアレルギーの血液検査の結果を交えながら、腸内細菌と免疫と食べ物の「密」な関係性に迫りたいと思います。
腸内細菌移植の臨床研究
以前、このブログで、東京は文京区にある順天堂医院が行っている「腸内細菌の移植に関する臨床研究」の対象疾患に、アレルギーも加えていただくことができたことを書きました。
時期としては2018年3月に赴き、2020年8月頃に承認されたようで、その後まもなく研究の一環で、便検体と唾液検体と皮膚検体を提供しました。
コロナ禍ということもあり、
「検体の解析をする機関とのやり取りがスムーズにいかず滞っている」
という旨のメールをいただいていたのですが、昨月9月、丁重なお詫びと共にまず腸内細菌の解析結果が郵送されてきました。
僕としてはガッツリと解析していただくことの方が重要だったので、全然気持ち的にせかしたり焦ったりはなく、本当に親切な研究者の方々だなと感じます。
記事の後半の方で、そのフレッシュな解析結果を見つつ、具体的な腸内細菌にスポットを当ててますので、何かの参考になれば幸いです。
免疫のおさらい
腸内細菌の話をする前に、まずは免疫ってそもそもなんだ?というおさらいをしていきます。
アトピーや喘息などアレルギー疾患をお持ちの方や、その他疾患でも自分で健康になろうとしてるリテラシーの高い方には聞き飽きたような情報もあると思いますが、今一度、復習ということで一緒に学んでいきましょう。
ヘルパーT細胞│アレルギーならまずコレを知るべし→免疫のタイプ
免疫と一口に言っても、そりゃお医者さんでも全部は把握できないほど複雑多岐に渡る仕組みや用語のオンパレードです。
なので、ことアレルギーに関して知っておいた方がいい免疫「ヘルパーT細胞」に関することだけ、今回は書きました。
ヘルパーT細胞とは、大まかに表現するなら、免疫のタイプのことです。
T細胞とは免疫への司令塔のこと
ヘルパーT細胞を説明する前に、T細胞のことについて説明します。
T細胞は、信号を出す免疫細胞です。免疫への司令塔ですね。
どうして「T」なのかと言うと、主に胸腺で作られる免疫細胞で、胸腺のことを英語で thymus と言い、その頭文字を取ってるからです。
まず、体の中や表面に何かが入ったり付着した時に、それらを食べて良いものか悪いものかを選別する役目の細胞として「樹状細胞」や「マクロファージ」が居ます。
この子達は、見張り役のようなものです。
樹状細胞が「悪いやつが来た!」と判断した時に、その情報をT細胞に報告します。
この、悪いやつと判断した異物を「抗原」と言います。
なので、樹状細胞くんが抗原の情報をT細胞に報告することを「抗原提示」と言います。
「T細胞さん、こんな怪しいやつがおりましたが、どうしやんす!?」
てなもんです。
そして、それを受け取ったT細胞が「曲者ーーー!!出合え出合えーー!!」とばかりに「サイトカイン」という信号を出します。
それと同時にT細胞が、ヘルパーT細胞のタイプ1やタイプ2に変身????️するんです。(分化すると言う)
これらを略して表記したのが「Th1」や「Th2」です。
別名、細胞性免疫と体液性免疫とも言います。
分化したのがTh1なのかTh2なのかによって、実際に体で起こる現象、症状が変わってくるということです。
Th1で活性化する細胞がワルモノをやっつける → NK細胞、キラーT細胞、マクロファージ
では実際に、Th1に分化した場合は、体の仕組みがどんな動きをして、どんな症状が出るのでしょうか。
まず、Th1が優位になると、ナチュラルキラー細胞(以下、NK細胞)、キラーT細胞、マクロファージといった免疫細胞が活性化します。
先程、別名が細胞性免疫と書きましたが、文字通り、免疫細胞たちが菌やウイルスに感染した細胞をぶち殺します。
役割としては以下の通り。
NK細胞 → フリーの殺し屋
キラーT細胞 → 雇われ殺し屋
マクロファージ → サイコパス殺し屋
NK細胞は、全身をいつでも動き回って、菌やウイルスに感染した細胞を見つけたら容赦なく殺しにかかる、フリーの殺し屋みたいな存在です。
一方でキラーT細胞とマクロじファージは、T細胞が出した信号を受信してから、しっかりと仕事をこなします。
キラーT細胞は、さしづめ雇われ殺し屋です。
マクロファージは、感染細胞を殺すというより、食べます。食べちゃいます。さしづめサイコパスです。
このように、Th1の免疫が優位になると、ワルモノを殺す細胞が活性化します。
Th1はヒーローじゃない → 自己免疫疾患のリスク
Th1の免疫はワルモノを殺してくれる、とだけ聞くと、
「Th1さん、素敵!!」
と思うかもしれませんが、実はイイコトばかりじゃありません。
もしTh1が優位になりすぎると、菌にもウイルスにも感染してない正常な自分の細胞まで攻撃してしまうようになるからです。
これが自己免疫疾患と呼ばれるものです。とても厄介で、多くの疾患は指定難病になっています。
ワルモノが居ないか目を光らせてはいても、決してヒーローではないので、崇拝しないように気をつけましょう。
Th2で活性化する細胞が、ワルモノをハネのける → B細胞、マスト細胞、ヒスタミン、プロスタグランジン、ロイコトリエン
Th1はワルモノをやっつけると書きました。
一方でTh2はワルモノをハネのけます。
菌やウイルスに感染する前に、攻撃される前に予防してくれるということです。
まず、Th2が優位になると、B細胞という細胞が、抗原とイチャイチャするヤツを作ります。
B細胞は、別名・肥満細胞と言いますが、Bや肥満と付くからと言ってブスやデブとは全く関係ありません。悪口は良くないです。
B細胞が生み出すこの抗原とイチャイチャするヤツをIgE抗体(アイジーイーこうたい)と言います。
IgEの由来
免疫のことを英語でImmunity(イミュニティ)と言い、抗体のたんぱく質をグロブリンと言います。
なので、まずこれらの頭文字を取ってIgと書きます。
イチャイチャタイプが、G、A、M、D、Eの5種類あるので、そのうちのEということで、IgEと言うわけですね。
もちろん、IgG、IgA、IgM、IgDもありますが、ここでは割愛します。
(覚え方はGAMDE=ガムデ)
少し話が逸れました。
B細胞が生み出した抗原とイチャイチャするヤツ、IgE抗体は、マスト細胞という細胞とタッグを組みます。
マスト細胞 → 運び屋
マスト細胞は一言で表現すると、運び屋です。

マスト細胞は一体、何をどこからどこへ運ぶの?
マスト細胞は、粘膜や皮膚から、顆粒球を、全身の各細胞に運びます。
マスト細胞は粘膜や皮膚にたくさんあって、粘膜と言えば鼻の中、口の中はもちろん、内臓も粘膜ですね。
そしてマスト細胞は、顆粒球というものを持っています。
顆粒球というのは、抗原を排除するための化学物質をたくさん含んでいるものです。
ヒスタミン、プロスタグランジン、ロイコトリエン───これらの名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
これらが、体のあちこちに炎症を引き起こす犯人とも言えます。
顆粒球の中にはこれらが含まれていて、マスト細胞はIgE抗体と結び付いたら、その顆粒球を全身に運ぶというわけです。
全身に運ばれた顆粒球は、そこで弾けて、化学物質をぶっ放して、はい炎症の完成───というわけです。
この現象を脱顆粒反応と呼びます。
でも、炎症を起こす物質はワルモノじゃないんです。
体がワルモノだと認識した抗原を、外に出そうとして、しっかり働いてるからこそ、炎症が起こるわけです。
つまり問題なのは、ワルモノじゃないものまでワルモノと認識してしまうような、崩れた免疫バランスです。

免疫力アップで病気になりにくい体に!!
な~んて喧伝を聞いたことがある人も居ると思いますが、あれは嘘です。
免疫力をアップするということは、なんらかの炎症が元になった病気を抱えてる人からすると自滅行為です。
より病気の症状を強くしてしまうんですから。
だからと言ってお薬で免疫を抑制するのが正解かと言うと、それも体の恒常性を変えてしまう可能性があって、一概には言えませんが、説明すると長くなるのでここでは割愛します。
免疫バランスが崩れた方が良い例(妊活女性・妊婦)
冒頭から一貫して、免疫は強くするよりバランスが大切なんだよと言い続けていますが、例外があります。
免疫が偏っていたほうが調子が良くなるケースがあります。
まだハッキリとはわかっておらず充分な情報を集められていませんが、妊活中の女性や妊婦さん、産後の女性にとっては、Th2というアレルギー系の免疫が優位な方が調子が良いようです。(以下、厚生労働省の画像とリンク先47P参照)

この図をぱっと見てもわからない人、大丈夫です、それが普通です。
要は、受精卵も、お腹の中にいる赤ちゃんも、女性の体にとってみれば「非自己」です。自分ではないものということですね。
なので、もしTh1の免疫が強いと、自分の細胞以外の細胞を攻撃してしまうわけですから、拒絶反応が起こる可能性があるということです。
これは、内臓などの移植手術にも言えることです。
自分以外の、自分に近い存在・生命体を自分の中に留めておくためには、Th2の免疫が強いほうがまだいいということ。
ただし、個体差というものがあるので100%正解はなく、やっぱりしっかりあなた自身の体をちゃんとあなたが知っていく、理解していくことが何より大切です。
免疫バランスを調節する細胞とは(制御性T細胞=Treg)
免疫は強さではなくバランスが大切ですが、じゃあ、その偏りはなくすためにはどうしたらいいのかということを話していきます。
結論から言うと、制御性T細胞を増やしてしっかり働かせることが一番重要です。
人体の仕組みというのはとてもおもしろく、素晴らしくよく出来ていて、生き物のはずなのに仕組みの正確さはさながら秩序だったプログラムと錯覚してしまうほど。
Th1、Th2、どちらの免疫も強くなりすぎれば体にとって良くないということで、その事態を避けるための仕組みもしっかり用意されているようです。
その仕組みの根幹を担っているのが制御性T細胞。Tregと言います。
TはT細胞と同じ thurus のT。
regは regulatory (=規制、制御)の略。
正式に表記するとRegulatory T cells、制御するT細胞、だからTregと言います。
では何を制御するのか。まさに炎症です。
免疫が強くなり過ぎて、体にとって良くない症状を出さないために、炎症を起こすのを制御します。
これは、Th1とTh2、どちらかに偏るものではなく、上でも書いた炎症性サイトカインというT細胞が出すシグナルそのものを制御するのです。
大切なのは、抑えるのではなく、根本的にコントロールしてくれるというところ。
炎症を長期間に渡って抑えてしまうと、体の恒常性が変わってしまいますが、そもそも炎症を根っこから起こさないのであれば、その体質自体が恒常性ということなので、いま話題の最大の予防医療がTregの増加と正常に機能させることとも言えますね。
さて、ここまでは免疫の機能のお話でした。
次からは、実際に免疫のバランスが崩れたり、免疫が強すぎると、検査などの数値ではどうなるのかを話していきます。
ここまででも相当長くなったので、しっかり休憩を挟みながら、読み物としてまったりだらだら読んでくださいな。
重度アレルギー者の血液検査結果はどんなん?(数値と症状に因果関係はない)
ここまで、免疫が強いとか弱いという表現をしましたが、実際に数値で見た方がわかりやすいと思い、自身のアレルギー検査の結果画像を用意しました。
これらの画像を見ながら以下を読むとわかりやすいかと思います。



まず、さらっと画像を見てもらうと、赤い丸で囲っている項目がいくつかあるのがわかるかと思います。
この赤い丸は、主治医がつけたものです。
検査1の画像では、免疫グロブリンEという項目に赤丸がつけられています。
見方としては、下限値と上限値という列があり、これが「健康な人の数値の範囲」なのですが、僕の数値はそれを大きく逸脱しています。
再検済と表記がありますが、これは血液検査をやり直したということではなく、同じ検体を解析し直したということのようです。
結果の数値が健常人であれば100~200のところ、7000超という異常値だったので、解析の不備が疑われたのかもしれません。
さてこの免疫グロブリンEという項目、ここまで読んだあなたならもうお分かりかと思います。
Th2の免疫が強い場合に、この免疫グロブリンE=IgE抗体が多くなり、これらがマスト細胞と結びつき、顆粒球から炎症を起こす化学物質がぶっ放されるんでしたね。
検査2,検査3の各項目も同様です。
なので、僕の体は重度のアレルギー体質で、人の数十倍は過敏な体質ですぐに重い炎症を起こすという現象を、数値化するとこのようになる───というわけです。
食物に関しては、因果関係というよりは相関関係が強いですが、吸い込んだり触れたりするものに関しては、概ねこの数値通りの過敏さと症状が実際に起こります。
ヤケヒョウヒダニやハウスダストに関しては、健常人の100倍以上の数値ですが、現実でも命に関わるレベルのリスクを伴っています。
免疫は、強ければ良いってもんじゃない!ということが、より具体的に理解できたのではないでしょうか。
TVや雑誌で「免疫力アップ!」などと謳っていても、決して鵜呑みにしてはいけません。
あくまであなたの体、あなたの免疫を、一般論や常識を度外視して、しっかり把握・理解する必要があるのです。
ここまでが、いわゆる免疫の基本的なおさらいでした。
次からはいよいよ、ここまで紹介した免疫の細胞などが、腸内に居る微生物にとても強い影響を受けていて、とても強い結びつきがあるという話をしていきます。
腸内細菌の検査でわかった数や種類とそこから見えること
さて、ようやく免疫のおさらいが終わったところで、ようやくあなたの腸内の微生物と免疫、ひいては病気や健康との強い関わりを話していきます。
冒頭に書いた通り、腸内細菌移植の臨床研究にて、僕が提供した検体のうち、腸内細菌の解析結果が先月2021年9月に郵送されてきたので、それを見ながら説明していきます。


これらの解析結果に出てくる数値は、成人の米国人男性の中央値を50として、そこから高いか低いかで腸内細菌のバランスがどうなっているかを見ます。
ビタミンB・短鎖脂肪酸スコア
腸内細菌と一口に言っても、その役割は多種多様です。
今回の検査で主に解析されたのは、一般的にも有名な乳酸菌やビフィズス菌。
他にも感染症や食中毒の菌や、酪酸菌や枯草菌、細かくすると〇〇門の△△属の□□菌といった表現の仕方で数千~数万種類も居ます。
乳酸菌やビフィズス菌は、腸内で、僕らの食べた食物繊維などからビタミンBや短鎖脂肪酸を産生する役割を担っています。
B3(ナイアシン)、B6(ピリドキ○○)、B9(葉酸)、B12(コパラミン)
僕らが普段「ビタミン」と言ってるものは、ビタミンという名前の物質というより、人間が体内で自分で生合成できないのに必要な栄養素の総称です。
なので、ビタミンAやBと呼んでるものも、実はちゃんとそれぞれ別の名前があります。
乳酸菌やビフィズス菌が腸内で主に生み出すビタミンは、ビタミンB3、B6、B9、B12です。
ビタミンB3は、ナイアシン。
ビタミンB6は、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンの3種類の総称。
ビタミンB9は、葉酸。
ビタミンB12は、コパラミン。
ビタミンB全般、代謝に関わる成分です。
個別の名前を覚える必要はありません。
これらの物質は、三大栄養素の糖質、たんぱく質、脂質、血液、ホルモンの生合成、DNAの修復など、人間が生命活動を続ける上でなくてはならない機能を補っています。
これらを産生するのが腸内細菌ということですから、腸内細菌がいかに重要かわかると思います。
重度アレルギーの僕の検査結果では、葉酸スコアが0で、体を構成する様々なものを生合成する能力がほぼないと推測されます。
食べても食べても太らない、とも言えます。
食べても太らない人は、よく羨ましがられると思いますが、本当は、食べた分だけしっかり身になる人の方が健康体だということです。
もちろん、該当の腸内細菌が多すぎて、食べた分が異常に脂肪を作りすぎてしまう、生合成過剰という真逆のケースもあります。
それが俗に言う肥満体質というものですね。
ただ、脂質を生合成し過ぎる or できない だと、後者の方が問題は大きくなります。
なぜなら脂質によって代謝される成分(脂溶性ビタミンなど)があり、脂質が生合成されず蓄えられない体ではそれらが微量でも過剰量になり、人体にとって有害になるからです。
すぐに太ってしまうのも悩みのタネですが、毒を代謝できる能力を有するがゆえのハンディだとも言えますね。
短鎖脂肪酸(酪酸、乳酸、プロピオン酸、吉草酸)
腸内細菌は、ビタミンB以外にも重要な物質を産生します。
酪酸、乳酸、プロピオン酸です。
これらは短鎖脂肪酸と呼ばれていて、免疫に関与します。
酪酸は、前述した制御性T細胞を増やし、免疫をTh1に誘導します。
乳酸は、糖の分解途中でできる老廃物と覚えてる人も居るかもしれませんが、実はそれは古い知識で、現在はその乳酸が肝臓でエネルギーに再利用されることがわかっています。
プロピオン酸は、前述したTh2の免疫を阻害してアレルギーを起こさないようにする効果があります。
吉草酸も、免疫を抑制する物質です。
総合して、短鎖脂肪酸は免疫を制御する役割があるのですが、実は、お薬のステロイドにもエステル(化学合成)されたそれらが使われていて、100%イイモノかどうかは疑問があります。
やはり、Th1かTh2かの強さよりもバランスが大切という一点に尽きます。
極端な数の腸内細菌の名前と役目
自身、腸内細菌の解析結果が返ってきて驚愕しました。
本来はすべての腸内細菌が中央値50前後を保っているのが健康体だそうですが、僕の場合は90だったり、20に満たなかったり、それはそれは不均衡でアンバランスな結果でした。
葉酸に関しても0で、とても興味深い数値でした。
ここからは、具体的にどんな種類の菌が多い・少ないのか、その役割も一緒に見ていきたいと思います。
Bacillus Coagulans バチルス・コアグランス
Bacillus Coagulans バチルス・コアグランスという菌のスコアは、初っ端から93.4と高値を叩き出しました。
バチルス・コアグランスの役割としては、俗に言う悪玉コレステロール=LDLを下げたり、先程もお話したとおり、脂質代謝能力を上げます。
そして、体に悪影響を及ぼすような微生物や毒素などを無害化するために人体は胃酸や胆汁酸を分泌しますが、バチルス・コアグランスはそれらに耐久性のある芽胞=たんぱく質のバリアを作り、ほぼ 100%生きたまま腸管に届きます。
さらに、前述した、エネルギーとして再利用される乳酸まで生成するマルチプレーヤーです。
【参照元→ライラック乳酸菌 一般社団法人 北海道食産業振興機構】
Bifidobacterium Breve ビフィドバクテリウム・ブレーベ
次は、Bifidobacterium Breve ビフィドバクテリウム・ブレーベです。
スコアは93.7で、先程のバチルス・コアグランスよりも更に高いスコアです。
ビフィドバクテリウム・ブレーベは、抗肥満作用と、耐糖能改善作用があります。
抗肥満は読んで字の如くですね。
耐糖能改善というのは、糖の分解・代謝能力のことです。
人間は炭水化物や糖質を食べるとその糖をエネルギーとします。
そのプロセスで血糖値が上がります。
そして上がった血糖値を下げるためにインスリンが分泌されるわけですが、耐糖能というのは、その分解・代謝できる許容量を増やすという解釈で大丈夫です。
たくさん脂質や糖質を食べても太らない、腸内細菌にあったんですね。
つまり、脂質代謝を改善する菌と、抗肥満作用のある菌の数が膨大だと、脂質の生合成の「必要性」がない体だとも言えます。
ただ注意しなければいけないのは、卵が先か鶏が先か。
脂質の生合成ができない体だからこそ、腸内細菌の組成が変化して自分の体が正常な状態を維持できているのかもしれません。
仮にそうだとしたら、自分の体が自力で生きているというより、もはや腸内細菌に生かされてるとも言え、頭が上がらず、足を向けて眠れません????
【参考文献→ビフィズス菌及びアブラナ科野菜を含有する経口組成物 サンスター株式会社 、森永乳業株式会社】
Lactiplantibacillus Plantrum ラクチプランチバチルス・プランタルム
次は、Lactiplantibacillus Plantrum ラクチプランチバチルス・プランタルム。
スコアは14.8。
これまでの菌とは打って変わって、極端に少なすぎるケース。
ラクチプランチバチルス・プランタルムの体内での役割は、免疫を強くすること。
あとは人間の食文化とも密接に関わっていて、耐塩性(塩に強い)ということもあり、漬物などの発酵食品によく使われてます。
生成する乳酸による防腐作用もあります。
これらだけ聞くと、

すばらしい菌じゃん!
と思うかもしれませんが、何度も言うように、免疫を強くするのはリスクです。
闇雲に強くするのではなく、バランスを取る意識が大切です。
あと耐塩性ということは、他の菌よりも生育しやすい(増えやすい)ですし、体の中の何らかに耐性があるということは増えた後に減りにくいということ。
「善玉菌を取って腸活♪」
なんて文言や喧伝に騙されて、ある特定の菌を摂取しすぎると、腸内細菌のバランスが変わって免疫が偏り、結果的に体を壊しやすくなるリスクが大いにあります。
気をつけたいですね。
【参考文献→菌の図鑑 ヤクルト中央研究所】
Limosilactobacillus Fermentum リモシラクトバチルス・ファーメンタム
お次は、Limosilactobacillus Fermentumリモシラクトバチルス・ファーメンタム
スコアは98.5。何がどーなってるのというくらいの高値。
この菌の特徴はズバリ、抗真菌作用。
真菌とはカビのことなので、要はカビの増殖を減らします。(50%ほどに抑制)
家畜の飼料に添加されて、家畜の肉のうま味が増したり、発酵食品を製造する時にも添加されます。

おっ、今度こそすばらしい菌じゃん!
そう思うでしょう。
それでも僕は待ったをかけます。
先程の血液検査の結果を見るとわかりますが、自身の体はカビに対してアレルギーがあります。
このラクトバチルス・ファーメンタムが抗真菌作用を持っており、保有してる数が異常に多いということは、カビに対して過剰に反応する要因の1つになってる可能性があるということ。
カビと聞くと、お掃除の際の黒や緑のカビを想像する人が多いかもしれませんが、僕ら人間は日常的に食品からカビを摂取してます。
味噌や醤油を製造する際に使われる「麹菌」などはカビの一種です。
もしカビのたんぱく質にアレルギーがあった場合は、摂取すると反応を起こしますし、腸の壁が薄くなるLGS(リーキーガット)状態になって免疫も偏っていると、体内から感染する菌血症という現象が起こりかねません。
どんな菌も「完璧」はなく、やっぱり多すぎても少なすぎても何かしら体質に不具合が起きるということです。
【参考文献→抗真菌活性を有するラクトバチルス・ファーメンタム菌】
Streptococcus Salivarius ストレプトコッカス・サリバリウス
最後に紹介するのは、Streptococcus Salivarius ストレプトコッカス・サリバリウス。
スコアは98.6。
今回の腸内細菌の解析結果上、最高値です。
この菌の役割は一言で表すと、アンモニアを作る菌。
アンモニアというと、小学校か中学校の理科で習った刺激臭のあるアルカリ性の物質です。
おしっこの匂いの成分としてよく知られていますね。
このアンモニアを作るのがストレプトコッカス・サリバリウス。
他にもピロリ菌など俗に言う悪玉菌がアンモニアを作り出します。

悪玉菌なら駆逐したほうがいいでしょ!
と思いますね。僕も思います。なにせ自身の腸内で一番幅を利かせてる菌が毒素を生成する菌なんて、あまり気持ちのいい話ではありませんから。
ですが、ここでもちょっと待った!です。
実は、一般的に言われてる善玉菌・悪玉菌というのも、100%の話ではなく、もう耳タコかもしれませんがやっぱりバランスの問題。
生体機能において、ムダなことというのはなく、何かしらの必要な役割や意味があって存在してるのです。
ただ、ストレプトコッカス・サリバリウスだけは、肝硬変や肝炎の増悪とその数とが正の相関関係にあって、今のところ科学的にどういうイイ役割があるかは証明されていません。
今後明らかになってくると願いつつ、自身はある程度その目星がついています。
実は、アンモニアからアミノ酸を生み出す腸内細菌が存在します。
つまりストレプトコッカス・サリバリウスが生み出すアンモニアを元にして、アミノ酸を生み出す別の種類の菌が居るということ。
裏を返せば、ストレプトコッカス・サリバリウスが居なければアミノ酸を生み出せず死んでしまうということ。
腸内細菌の数や種類は本当に千差万別で、それこそ人の数だけあります。
もし、アンモニアからアミノ酸を生み出せる菌が多く居た場合は、その菌たちにとってストレプトコッカス・サリバリウスは救世主であり、どちらの菌も保有してる宿主である本人にとっても居なくてはならない大切な菌なのです。
【参考文献→世界初!C型肝炎患者の腸内フローラ異常を解明―腸内フローラの正常化による肝炎悪化・肝がん予防の可能性 ― 日本医療研究開発機構】
人体のスベテの現象には理由や原因が必ずある
今回解析されて紹介した菌も、腸内細菌の中ではほんのごくごく一部の種類で、全ての種類を合わせると1000種類とも言われています。(厚生労働省HPより)
一般的に悪玉菌と呼ばれてる菌たちにもちゃんと役割があり、様々な他の菌とも支え合って相互扶助関係を築いていたりします。
なので、
「これは良い菌、これは悪い菌!」
と頭ごなしに決め付けずに、どんな役割があってどんな能力があって、どんな影響を何に与えてるのかを考えるクセをあなたにも付けてほしいと思います。
そのクセを付けることこそ、あなたの体、ひいては心の健康にもダイレクトに結びつきます。
菌の代謝・産生物が人の体質を左右する
さて、ここまでは自身の腸内細菌の解析結果を見ながら、ピックアップされた菌の種類やその役割について見てきましたが、次は軽く、ざっと腸内細菌が体に及ぼしている影響や、左右する体質をさらっていきましょう。
菌が食物繊維からアミノ酸や短鎖脂肪酸を生み出す
上述した通り、菌は、人間の体が生み出せないものをたくさん生み出します。
本来、肉や魚を食べないと生み出せないアミノ酸や脂肪酸を、植物からでも生み出せる菌が存在します。
具体的には、上述した、本来は毒素のはずのアンモニアです。
アンモニアは窒素化合物なのですが、その窒素からアミノ酸や脂肪酸を生み出し菌が居るのです。
野菜しか食べないベジタリアン、フルーツしか食べないフルータリアンやブレサリアンは、その植物からアミノ酸や脂肪酸を生み出せる菌を腸内にたくさん保有しています。
一言で表すと、草食動物です。
草食と聞くと、草食系男子など、なんだかひ弱で頼りないイメージがあるかもしれませんが、ここで一回、動物のゾウさんを想像してみてください。
大人のゾウの体重は、種類にもよりますが、5トンを超える個体がたくさんいます。
そしてゾウは、何を隠そう草食動物です。
生涯、草しか食べません。
なのにあんな巨体を一生維持し続けるわけです。
栄養源が動物の肉であれ植物の葉っぱであれ、脂肪酸やアミノ酸を生み出せさえすれば、生き物はたくましく大きく成長して生きられるのです。
しかも、生育するコストや期間や手間を考えると、植物を栄養源にできる体というのは圧倒的にコスパが良いです。

けど人間は雑食だろ?
と言う人も居るかもしれませんが、ここまで読んだあなたの口からはもうその言葉は出てこないですよね。
腸内細菌は千差万別で、産まれてから生きている中で腸内細菌のバランスが変わる要因は数え切れないほどあります。
その要因が重なった結果、草食動物になって、肉や魚を食べると体の調子が悪くなって病気を引き起こしてしまう人間も居るというわけです。(不食の人 参照)
そうです、原点回帰しますが、腸内細菌は免疫を司っていて、草食か肉食か雑食かは、その生物の免疫、ひいては何を食べれば健康かを決定しています。
恒常性が変わる(ホメオスタシス、レギュレーション)
腸内細菌で免疫が変わると何度も話していますが、具体的には何が変わるのか───まずは「恒常性」です。
恒常性、ホメオスタシスやレギュレーションとも言ったりします。
これは、体が一定の状態を保とうとする機能のことです。
わかりやすい例で言うと、体温がそうですね。
いくら低体温の人でも平熱が34℃台の人や、反対に38℃台の人は居ないでしょう。
体温を一定に保とうとする恒常性が働いているからこそ、暑くても寒くてもすぐに凍死したり熱中症にならずに済んでいるということです。
他には、外からの菌やウイルスに感染した時に、それらを排除しようとするそもそもの免疫の働き自体が恒常性です。
腸内細菌のバランスが崩れ、免疫が変わる、即ちこの恒常性が、変わるのです。
自律神経が変わる
自律神経という言葉を聞いたことがある人は多いかもしれません。
神経というと、細い線のようなものが張り巡らされたぼや~っとしたイメージを持つ人も多いんじゃないでしょうか。
自律神経はもっと単純です。
興奮モードと鎮静モードの切り替えです。
エキサイトか、リラックスか。
それを切り替えるのが自律神経です。
この切り替え機能が、免疫によってダイレクトに影響を受けるということ。
具体的には、Th1は興奮、Th2は鎮静‥‥といった具合。
発達障害で、多動や自閉といった症状がありますが、実はこれらも自律神経および脳も含めた神経伝達物質の違いによって起こる症状なのです。
もちろん、先天性疾患や感染症ではない病気ほとんどに関わっていますので、うつにも関係しています。
神経伝達物質が変わる(ドーパミン、セロトニン、メラトニン、エストロゲン、テストステロン)
自律神経が変わると、当然、神経伝達物質を体が出すタイミングやその量も変わります。
興奮の時にはドーパミンが、鎮静の時にはセロトニンが、睡眠の時にはメラトニンが多く分泌されるわけですが、ここで免疫が偏っているとうまく望んだタイミングで切り替わってくれなかったりします。
頑張らなきゃいけない時に頑張れない、落ち着かなきゃいけない時に落ち着けない、眠らなきゃいけないのに眠くならない・・・・こういった状況に陥るのも、結局は腸内細菌が要因の部分が少なくないのです。
いかかですか。腸内細菌の重要性と、僕らの日常生活にどれだけ密接に、なんならニコイチくらいの存在として関わっていることがわかってもらえたかと思います。
そんな大切な腸内細菌のバランスですが、先程も書いたとおり、崩れてしまう要因が産まれてから生きてる中でたくさんあります。
全てを挙げているとキリがないので、トップ3だけ挙げて今回はおしまい。
腸内細菌叢を変化させる要因トップ3
人間の命や人生を司るほど大きな存在の腸内細菌。これらを乱して破壊して崩してしまう代表トップ3として、
- 抗生物質
- 乳化剤
- 植物毒
があります。
抗生物質が腸内細菌を最も変化させる
僕らが風邪をひいた時などの病院に行って処方されるお薬の1つに、抗生物質があります。
食中毒を起こした時や感染症に罹った時には、もちろん抗生物質が欠かせませんが、風邪の時にも処方されるケースは多いです。
でも、抗生物質で風邪が治ることは100%ありません。
なぜなら風邪は、ウイルス感染症だからです。
抗生物質は、菌を殺したり抑制するお薬です。
ウイルスは菌じゃないので、抗生物質で死にません。
なのに気休めの目的で抗生物質が処方されます。

けど抗生剤を飲んで風邪がマシになったことあるぞ!
という人も多いと思いますが、それが大きな勘違いであり大きな落とし穴なんです。
前述したとおり、抗生物質は腸内細菌のバランスを大きく乱します。
腸内細菌が乱れるということは免疫のバランスが乱れるということ。
そして、風邪でも他の病気の炎症でも、症状というのは炎症のこと。
炎症というのは体の免疫反応のこと。
つまり、腸内細菌が乱れて免疫のバランスが変わった結果、炎症が抑制されて、風邪の症状がおさまるのです。
でもそれは決して風邪が治ったということではなく、むしろ風邪が治るのをジャマする行為なのです。
体が異物と認識してそれを体から排出しようとしてるのが「病気の症状」なので、それを抑制するということは、異物を体から排出するのをジャマしてるということ。
もちろん、異物ではないものを異物と判断してしまう免疫の異常もあるので、その異常な排除反応を抑えるために免疫を抑制しようという意図があるならまだわかります。(厳密にはリスクですが)
ただ、風邪というウイルス感染症は、体がウイルスをやっつけてしまえば根治することは確定してるので、なるべく抑制せずに体に症状を起こさせた方が早く根治します。
とは言え、高熱がずっと続くと脳や生体機能に後遺症が残ったり最悪命に関わりますから、救命や本当に緊急時に病原体が特定できている場合は薬を使用するべきです。
でも、そうではない、外来医療における風邪や軽い食中毒に対しても、標的の微生物を特定できないまま気休めのために抗生物質を処方して、患者には薬で病気が治ったと勘違いさせ、果てには不可逆的な腸内細菌の乱れ=免疫の乱れを引き起こして、他の病気にかかりやすい体質になるリスクを増やしてるケースが多発してるのです。
抗生物質を安易に使うのは、残りの長い人生全てにリスクを負うことだと理解することが、QOLを上げるためにとても大切なことです。
乳化剤
先進国日本では、コンビニでもスーパーでも大量の加工食品が売られてますが、それらの裏に書いてある原材料名を見ると、ほぼ全ての商品に必ずと言っていいほど入ってる食品添加物があります。
それが「乳化剤」です。
この乳化剤は、別名・界面活性剤とも言います。
役割としては、本来は混ざり合わない水と油を強制的に混ぜ合わせるというもの。
シャンプーやボディソープやお掃除洗剤にも使われてます。
食品においては、舌触りや歯ざわりを滑らかにしたり、クリーミーな感じを作り出す役割をします。
洗剤に使われてるとは言っても、もちろん、加工食品1つに含まれる乳化剤はもちろん微量で、WHOも人体には無害と判断してますが、国際医学ジャーナル誌ネイチャーでは2014年頃から「よくないもの」であるという研究論文が挙がっています。
何が良くないのかというと、乳化剤を微量でも日々摂取し続けると、腸粘膜バリアが薄くなり、その結果腸内細菌が乱れるのです。
腸内細菌が乱れるということは、もうおわかりですね。
免疫が乱れるということです。
少しくらいの乱れなら、食生活を見直せば元に戻るでしょうが、毎日毎日忙しくてお手軽な加工食品ばかりを食べてしまってる人が多いこの先進国日本では、気付かないうちにどんどん乱れは激しくなっていきます。
先進国ほどアレルギー疾患が増加していってることからも、遺伝説や環境汚染説や衛生仮説なんかよりよほど現実味のある事実です。
植物毒→油脂、アルカロイド、アルデヒド、フェノール類
腸内細菌バランスを乱す最後の1つは、これも常識を完全に覆すであろうものです。
それは「植物」です。植物とは言ってもそのへんに自生してる木や草花のことではなく、人間に一番身近な植物と言えば食べ物です。
一番に野菜が浮かぶと思いますが、よく考えてみてください。
主食である炭水化物も、調味料も、香辛料も、薬味も、全て植物です。
その中で、先進国ほど大量に不自然に摂取してるのは、油です。
普段お料理に使うサラダ油=植物油が代表的です。
ごま油、オリーブオイル、菜種油、綿実油、大豆油、ひまわり油、パーム油など色々種類はありますが、これらは全部植物油です。
一見、全然違う種類の油に思えるかも知れませんが、これらにはたった1つの共通点があります。
それは「リノール酸」という脂肪酸の含有量が多いことです。
もちろん、脂肪酸と言ってもオレイン酸やパルミチン酸やαリノレン酸など色々ありますが、植物油の中にはリノール酸という脂肪酸が圧倒的に多く含まれています。
このリノール酸は、これまでの栄養学では悪玉コレステロールを減らすヘルシーなもののように謳われて、トランス脂肪酸という人工的に作られた酸化油の代替油として使われてきましたが、最近では植物油も大して発がん性がトランス脂肪酸と変わりないことがわかってきました。
端的に説明すると、劣化や熱や体内の活性酸素と結び付いて酸化した油は、酸化コレステロールというものになり、この酸化コレステロールが人間の細胞を傷害したり遺伝子を切断することは既にわかっています。
細胞が障害されたり遺伝子が切断されると、炎症になります。
炎症はストレスなので、驚かされだだけで死んでしまう腸内細菌が居ると前述した通り、炎症そのものが腸管バリアを破壊し、腸内細菌バランスを乱し、その乱れが免疫を変化させ、さらに無害な物にまで反応して炎症が起こりやすくなり、それがまたストレスとなり───と最悪の負の連鎖になるのです。
自炊でもサラダ油=植物油を使い、外食でもそれらが使われていて、コンビニやスーパーで売ってる食品の9割と言っても過言ではないほど植物油や前述の乳化剤が使われ、毎日毎日それらを摂取してる先進国の人間がアレルギー疾患を始め様々な現代病、生活習慣病になるのは、最早当然のことなのです。
アルカロイド・アルデヒド・フェノール
さらに見出しで書いた通り、植物油だけが植物のリスクではありません。
アルカロイド・アルデヒド・フェノールもリスクです。
これらは、植物の保有(含有)する芳香成分や毒素です。
植物の繁殖は、昆虫や動物や風がその花粉を別の場所に運んで受粉することで行われます。
植物は自分では身動きが取れないから他の自然の力に頼って繁殖するわけです。
が、自分自身を防御することはできません。
その代わりに、植物毒を保有することによって、昆虫や動物に食い荒らされることから逃れています。
そして何を隠そうアルカロイドの一種は、強烈な麻酔薬、ガン患者の痛みさえ抑えられる鎮痛剤であるモルヒネの原料です。
免疫を抑制したり神経を麻痺させたりする薬には、多くの場合植物毒が使われています。
人工物とは言っても、天然の成分が凝固されてるようなものも多く有るということです。
ここまでを読むと、一般人の僕らには縁遠い話のように思えるかも知れませんが、全然そんなことはありません。
ナス科の野菜、じゃがいもや茄子やトマトにも、アルカロイドは入っており、もれなくこのアルカロイドが免疫を抑制する研究結果は既にあるからです。
しかも、高温の油で揚げても半分すら分解できません。強力です。
アルデヒドは芳香成分なので一部の香辛料や薬味に入っていたりします。
フェノールは皆さんご存知のポリフェノールで、体にイイ成分の代表のように一般論では言われていますが、個体差によっては反対に発がん率が上がる人もいます。(抗酸化酵素の量、脂質・アミノ酸の生合成能力に依存説が有力)
つまり、これらの植物成分は免疫を抑制するということです。
細菌・真菌・ウイルス感染症リスクが上がるということです。
しかも感染してるのに検査をしても陽性が出ないケースも多々あるので、仮に潜伏感染してる場合、原因不明なのに全身の様々な場所に炎症が起こり、いわゆる「病気」を招くことになるのです。
そもそも無害だったはずのものにまで反応するわけですから、アレルギー検査で数値が出なくても、それまでの食生活を変えない限りはいろんな飲食物にまで反応して、死ぬまで増悪していくことになるというカラクリです。
そこでまた医療に縋って薬に頼ると、原因は更に曇り、出口のない迷路の完成です。
薬と食べ物は、人間の体質、ひいては人生を直接左右するので、甘く見ずに真剣に捉えていくことが大切です。
人によっては脂溶性ビタミンに注意
腸内細菌のバランスによって、脂質やアミノ酸の分解・代謝・生合成の個体差が生じますが、人体に脂質が少ないと、脂質で代謝されて良い影響を与えるはずだった成分も毒素になりえます。
その代表として脂溶性ビタミンがあります。
脂溶性ビタミンは、粘膜の修復や保護、視力の維持に不可欠と言われてますが、脂溶性というだけあって脂肪組織に溶けます。
さらにそこから肝臓にも蓄積されます。
ということは、脂質の生合成が少なく痩身体質の人は、脂肪組織が少ない分、肝臓に蓄積される量が相対的に多くなります。
すると平均よりも少ない量で過剰症になり、肝臓・皮膚障害や頭痛などが生じやすくなります。
さらに、脂溶性ビタミンはA・E・D・Kですが、ビタミンAはEの1000倍の抗酸化力があります。
抗酸化作用というとアンチエイジングを思い出す人も居るかもしれませんが、これも個体差があって、人によっては抗酸化作用が発がん性を招きます。特に喫煙歴のある男性に顕著です。
一般論や既存の栄養学や常識に惑わされず、個体差を考えて、自己理解をすることが、薬や食とうまく付き合っていく最重要ポイントです。
病気の人はすでに腸内細菌も免疫も乱れてる
ここまでさんざん「薬と食べ物には気をつけよう」と啓蒙してきましたが、残念ながら、いま現在なんらかの症状や病気を抱えてる人は、すでに腸内細菌も免疫も乱れています。
何か健康な人と違うことが体で起こってるのを病気と言います。
健康な人と同じ環境でも違う現象が起こるアレルギーならなおさら、すでに健康な人の体とは大きな違いがあり、何かのバランスが崩れて乱れています。
それがたとえ腸内細菌であったとしても、一度崩れたり乱れたバランスは変えるのはとても難しいです。
一般でもよく取り沙汰される「腸活」ですが、そんなカンタンには事は運びません。
それどころか、すでに健康ではない人が、健康な人に向けた一般論や常識を鵜呑みにしてもただひたすらリスクを増やしてしまうだけです。
たとえば、プロバイオティクスやプレバイオティクスです。
プロ&プレバイオティクスをやりすぎた過去~LGSと菌血症~
プロバイオティクスやプレバイオティクスという言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
プロバイオティクスは、なんらかの生きた菌を腸まで届けようというもの。
プレバイオティクスは、腸内細菌のエサになるようなものを摂取しようというもの。
僕自身、全然知識が乏しかった頃に、薬でおさまらない重いアレルギー症状をなんとかしようと、漢方やサプリに手を出したりしました。
お察しの通り、極度の悪化をして寝たきりになったりしたわけですが、その中でも一番悪化したのがプロバイオティクス。
なんらかの生きた菌を摂取したわけです。
乳酸菌飲料だったり、自家製のヨーグルトだったりチーズだったりぬか漬けだったり、とにかく「イイ菌」と言われるものを摂取してみた時がありました。
結果的には「菌血症」という、内部から微生物に全身感染するという、一歩間違えれば命に関わるような状態になってしまったわけですが、それでも最初は気付かず、病院にもかかれず、最後は自分で菌を推定して、該当する抗生物質をネットで海外輸入代行を利用して手に入れ、難を逃れました。
何が起こってたかというと、ここまでで読んでもらった現象を複合したことが体に起こってました。
まず免疫抑制剤を長年使って、暴飲暴食などの不摂生で植物油脂や乳化剤を大量摂取し、人生におけるストレスも相まって腸内膜剥離を経験して粘膜バリアが破壊された状態(リーキーガット)で、腸内細菌以外の菌を摂取し、免疫が崩壊してバリアがないから感染した・・・という経緯です。
一般に浸透してるような健康情報や民間療法は、現在なんらかの不調を抱えてる人ほどリスクになります。
なので、重ね重ね、薬や食に関しては充分注意し、今までと捉え方を変えて、真剣に考えて選択することが本当に大切だということを念押しします。
まとめ
さて、長々と書いてきましたがまとめです。
- 免疫は大きくわけてTh1とTh2
- Th1が強すぎると自己免疫疾患
- Th2が強すぎるとアレルギー疾患
- 腸内細菌が免疫を司ってる
- 薬と食べ物が人体=人生を左右する
ここまで読まれた方は、非常に勤勉で稀有で奇特(褒めてる)な方です。
現代は、普通の感覚で生きているとすぐに騙されたり食い物にされたりして、カンタンに「こんなはずじゃなかった」と人生を棒に振る結果を招いてしまいますから、いろんな情報を集めて精査した上で、自分の脳で真実を判断することはとても重要です。
あなたにはそれができているので、心から拍手を贈りたいと思います。
読破おつかれさまでした。
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