アスペ多動の忘れ物対策

アスペルガーと多動というと、その特徴として槍玉に挙げられるのが、忘れ物が多いとか時間にルーズとか約束を忘れちゃうとか、散々な言われようで、ケースによっては本当にこちらが悪いから本当に申し訳ないなって思う気持ちでいっぱいやねんけど、今回は特に自己嫌悪に陥りやすくなる「忘れ物」に関して、具体的に僕がやってる対策を講じようと思うよ。

改善はできません(主に定型さんへ)

えーっとね、改めて、ハッキリしておきたいことってのは、発達障害は「脳の違い」だから、改善はでけへんねん。

知的障害の人が勉強して頭が良くなったりIQが飛躍的に向上したりすることがないのと同じように、手足のない人に手足が生えてこないのと同じように、発達障害の人の脳みそが飛躍的に別人のように変化したりすることがないんです。

ただ、嘆くことなかれで、知的障害や身体障害のように「自分の力で生きる上で物理的に何かが圧倒的に足りてない」というわけじゃない。

このブログの合言葉でもある「長けたら欠けた」どおり、なかなかうまくできないことがある分、人より文字通り「発達している部分」があって、集中力であったり、いろんな細かいことに気が付いたり、自分の興味のあることへの記憶力や、強く感じたことへの記憶力が著しく高いとか、言い換えれば「特殊能力」みたいなものが備わってる。

大前提として、人間はそもそも一人で生きていくことができない、狩猟の時代も採集の時代も、ある程度の大小の群れを成して助け合って生きてきた生き物やねんな。

数万年の中で、多少は遺伝子変異みたいなことも起こってるとは思うけど、人と人が愛し合って、人から人が産まれてっていう根本的な仕組みは不変で、やっぱり一人では絶対に生きていけないし産まれても来ないねんな。

こんだけ多様な社会になってくると、物理的に人と繋がってる実感ってなかなか感じられないと思うけど、着てる服も食べる物も住むとこも、今触ってるスマホもPCも、それを使うための電気も、何もかもが「たくさんの人が居ることで存在してるもの」なわけやん?

いくら資本主義でお金で色んなものが手に入ると言ったとて、実際にそれらを生み出す”人々”、全国に提供したり届けたりする仕組みを作る”人々”が居ないと、お金があっても手に入りようがない。

だから、確固たる人との繋がりってのは、産まれた瞬間から生じてて、繰り返すけどやっぱり一人では到底生きていけない生き物やねん。

それを大前提として、じゃあ今度はどうやって人がより良く、一人ひとりが楽しく嬉しく幸せに生きていくかってなると、それぞれが得意なことを伸ばして、苦手なことは補い合って、いろんな学問的にもそれぞれ「差」や「違い」があって当然なんだよってのをちゃんと理解してくことに尽きる。

マナーやモラルってもちろんあるし、ある程度の群れを形成してる以上はそういう規律も大切になってくけど、もっと入り口の部分では生存権や基本的人権ってものがあるわけやから、唯一無二の一人ひとりをないがしろにするような変な規律はなくしていった方がみんな生きやすいよっていう。

「同じであれ!!」という同調圧力ではなく、「みんな違ってみんな良い」っていう社会に方向転換してくことを目指していかないと、どんどんみんな息苦しくて堅苦しくなって、しんどくなるからさ。

メモの有効性

はい、やっとメモの話。

「メモの魔力」という前田裕二さんの本があって、とても人気の本らしく、僕は拝読してないんだけど(ごめんなさい)、メモって本当にすごいなって最近思うねん。

冒頭に書いた通り、

「メモしたこと自体を忘れるんやから意味ないわ」

ってずっと考えてたんやけど、それは自分の活用の仕方が悪かっただけで、アスペ多動でも充分にメモは有効活用できるねん。

自分の次の行動を阻む形でメモに触れるのが重要やねん。

メモを活用する

「メモしたことすら忘れるんだよ……」

というアスペ多動のキミ。

わかる!わかるぞ!!

もうね、紙にペンでメモしようが、スマホのメモ帳やリマインダに入力して、なんならアラームまでセットしたりしても、僕らの意識や記憶ってのは相当印象を強く付けないと、ほんの数秒でスイッチング(切り替わり)しちゃう。

ほんの数秒前まで考えてたこととは全く違うことに真剣になってたり、さらにその数秒後にはまた全然違うことを気にかけてたり。

メモなんてしても意味がない!って気持ち、わかるよー。

でもでも、甘い!!

メモしただけで終わるからメモしたことを忘れるねん。

大切なのは、メモをした後、メモが必要になる瞬間にメモの存在を思い出せるようにする対策やねん。

それがアラームやったりするんやろうけど、よく自分の特性を考えてみて。

秒で意識が違う方向に行っちゃう可能性があるわけやん??

そしたら、肝心なのは、「メモしたことが必要になるまさにその時に自分がそのメモを思い出すこと」やん??

次から具体例を挙げていこうと思うよ。

メモで自分の「不快」を作る

買い物のために書いたメモを忘れちゃうってのを例にしよう。

メモを書いた時、そのメモはどこにある?

キッチンのテーブル?

リビングのテーブル?

冷蔵庫に磁石で留める??

いやいやいや、それはもう全然詰めが甘い。

ポケットか靴の中にすぐ入れろ!!笑

……うん、そういうことです。

ポケットに手を突っ込んだ時、靴を履いた時、メモ用紙がクチャってなったら、めっちゃ不快やん??

アスペ多動の人って、大体は「体感的な不快」をめっちゃ嫌うと思うねんな。

・水に濡れる
・上着の中でシャツの袖がクシャクシャになってる
・畳んだ傘のシワが隆起してる
・靴の中に微妙に小石
・寝てると布団の角が片方だけ内側に折れてる

こういうの、イヤやん。

だから敢えてメモでそういう不快な状況を作り出して、忘れちゃダメなことを思い出すように自分で仕向けてやるねん。

今すぐ必要ではないメモは壁にでも貼る

恐らくこれが一番強敵やねんけど、今まさに考えてることをメモしたとしても、時間が経てば経つほどその重要度が脳内で下がっていってしまうから、メモ自体がどっかに行ったり、メモしたことを忘れたりするわけやろ。

今すぐ必要のない、でも忘れてはいけないことが、一番忘れやすい。

スマホのメモやリマインダーにメモしてても、事前のアラームが自由に設定できなかったりで、ギリギリになってから思い出してあたふたする・・・みたいな。

だから、自分が意識しなくてもそのメモに日常的に触れる状況を作ってやればいい。

僕はよくポストイット(付箋)を活用してて、もう、普段自分がくつろぐ部屋の椅子の真横の壁に、その付箋を貼りまくってる。

要は、日常的に、

・自分が絶対に見るところ
・自分が絶対に触るところ
・自分が絶対に通るところ

ってのは必ずあるから、そこに自分の五感へのトラップとして、メモを配置するわけやねん。

家や会社のパソコンの縁とか、キッチンの壁、トイレのドアの内側とかも。

そういうとこにメモを貼り付けておくと、思い出す努力を必要としないし、何度でも触れられるし、忘れない。

本当にオススメやで。

絶対忘れてはいけない物で自分の行動を阻め

「わぁ~大変!遅刻遅刻~~~~!今日は大事なプレゼンの日!!遅れたら上司に叱られちゃう~!」

と言いながら食パンを口にくわえて、曲がり角でヒーローとヒロインがぶつかって恋が始まる……なんてことは、まぁないとして。

それだけ慌てて急いでる時に限って、昨夜まとめた大切な資料や、遅くまで頑張った宿題を忘れたり、絶対に忘れてはいけないものを忘れたりするんだよね。

定期や免許証もあるあるかな。

「あぁ~~机の横に置いておいたのに」

「出かける直前まで覚えてたのに」

そんな後悔を、僕も何百万回したかわからんよ……。

ここで大切なことというか、アスペ多動の考え方でダメなのは、自分を過信しすぎなとこ。

アスペ多動の記憶力が良いのは、本当に強い印象を受けたり心が強く何かを感じたり、めちゃくちゃ興味のあることだけであって、他のことに対しては、圧倒的に普通よりも記憶力が欠如してるってことをちゃんと肝に銘じてください。

もう、極端な話、自分には何かを記憶する能力がない!くらいに考えておいた方がいいぞ。

その上で、メモに頼る。

とは言っても今回の例なら、忘れてはいけない持ち物自体がメモみたいなもんやから、たとえば会議の資料や宿題なら、

靴の上に置く
玄関の扉の前に置く
取っ手に引っ掛ける

とか、自分が思い出さなきゃいけない物を使って自分の未来の行動を阻むのが重要!!

次は、人との約束とか、忘れちゃいけないことそのものがストレスでイヤって場合は、そもそも約束をするかどうかをしっかり考えて、なんなら約束をしない勇気や責任を持つってのも大切。

約束はしないという勇気と責任

守れるかどうか確信できない約束は、基本的にはしないようにする。

そもそも約束ってのは一人でするもんじゃなく、誰かが居て成り立つことやから、約束をするってのはその時点で重い責任が生じるってことを理解したほうがいい。

その責任を自分がしっかり果たせるのかも大切やし、もっと大切なのは、その約束という責任を果たすことが自分のストレスにならないかってところ。

大体は、アスペ多動……特にアスペが強い人かな。約束はストレスになりやすい。

約束とか予定って、言い換えれば「未来の自分の行動を制限すること」でもあり、それがあることによって「今まさに自分が集中してることをも阻害される要素」やから、めっちゃストレスになるのね。

だから、そういう心の特性をちゃんと自分で理解して、本当に心から約束したい時以外の約束は、しないようにする。

それがある種の「責任を持つ」ってこと。

約束をうまく守れないからこそ、安易に約束せずにちゃんと断る。これが責任。大切なこと。

“絶対”を活用する

アスペ多動ってさ、こだわりが強いから、

「これだけは絶対に外せない!!」

みたいなこだわりがあると思うねんな。

それは、出かける時の持ち物もそうやと思うねん。

会社や学校にカバンとか傘や書類は忘れるけど、財布とスマホはちょっと散歩するだけでも肌身離さない、とかさ。

今までもいろんなアスペ友達居たよ~。

下着を履くの忘れるけど絶対にスーツ着るとか、歯磨きや顔洗いしないけどコンビニ行くでもフルメイクとか。

僕の場合は、出かける時の持ち物はなるべくゼロが良い。手ぶらでいたい。

だからマネークリップとかテイルウォレットとか、お札とカード数枚入る財布と、コインホームっていう小銭が数枚入るものだけ持ってる。

自閉の極みやから、丸一日、スマホを持たずに出かけることもある。

てか、スマホだけを持ってペイ系アプリで決済すればいいねんけど、まだまだ日本はキャッシュレスが進んでないから、現金のみの店が付近にも多くて。

オーストラリアとか、お祭りの屋台までクレカOKらしく、そういうクレカ支払い率70%超とかの国で住んでたら、持ち物はカード1枚やし、いいよなぁと思う今日このごろ。

こだわりで言うと、後は、「配置」ね。

家でスマホを充電する時に使うコンセントはココ!とか、家の鍵は絶対にココ!とか、ジャケットの右側の内ポケットにハンカチ入れる!とかさ。

けっこう無意識に、そういう「マイルール」ってめっちゃたくさんあると思うねん。

そういう、「自分から絶対に切り離せないこだわり」ってところに、忘れちゃいけないことや、思い出したいことをメモして、貼っ付けとくといい。

その「重要度」によって、メモを……

・家の鍵の上に置いとく
・玄関の扉に貼り付けとく
・自転車のサドルに貼り付ける
・車の運転席に置く
・ハンドルに貼り付ける
・カバンの持ち手に巻きつける
・財布を隠すように置く

とか、そうやって工夫してくわけですよ。

PCをよく触る人ならキーボードの上に置くとか、ベッドの上が好きなら仰向けになった時に気付くように天井に貼り付けるとか。

自分が意識して努力することなく「メモしたことを絶対に思い出せる工夫」ってのを、メモした瞬間にすると良いよ。

勝負は”メモした瞬間”

「メモした瞬間に工夫する」と書いたけど、これは本当に重要。

何度も言うようにアスペ多動は「メモした3秒後にメモしたことを忘れる」みたいな可能性が大いにある。

鳥ですか?みたいな特性が往々にしてあるわけやねんな。

だから、メモをした段階で「メモが終わったと認識してはいけない」ねん。

メモをしてる時ってのは、そのメモに集中できてるってことやから、その流れで、一気に未来への対策も含めてしてしまう、と。

すると集中が途切れることなく、「メモを終えられる」わけなんですな。

まとめ

アスペ多動は、忘れ物が多い。

忘れないようにメモしたことを忘れる。

メモに文字を書いただけで終わらずに、未来の自分がそのメモを思い出すために工夫をすることを含めて「メモする」ってことやと理解すると良いよ。

・五感へのトラップとしてメモをあちこち貼りまくる
・自分の未来の行動をあえて阻む
・なるべく人と約束しないのも勇気と責任

そして……

これらをめんどくさがらないように!笑

またでbye。

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