今回は、脱ステ(ステロイド離脱)中の感染症について書こうと思う。
僕のステロイドに関する考え方とかはこれ読んでもらって
→ステロイド離脱症状が出る時期
皮膚にひどい炎症が起きてる状態ってのは、当然皮膚のバリアなんてなくて、粘膜がもろに露出してるわけやから、感染症のリスクってのは高くなる。
特に、ステロイドを長期に渡って使用していた場合、免疫も抑制されていて、菌やウイルスに対する脆弱性(よわさ)が高くなってしまっていて、より一層、感染の危険性が高くなってる状態なのね。
で、前回の記事でも書いたとおり、人によっては保湿も逆効果になって、あまりしっかり洗ってもいけないし、なんなら濡らすこともあまりオススメしないっていう、感染症を考える上ではけっこう心配になる要素も多いと思うねん。
なのでここで、改めて色々と感染に関する知識をお届けしようかなと。
洗ってはいけない・洗わなきゃいけない
基本的には、ダメージ最大になってる皮膚を石鹸で洗う行為ってのは悪化の原因でしかなくて、傷の治りも遅くなるし、易感染性も高くなる。
だけど洗わずに居ると、常在菌バランスが狂っていて特定の菌だけが繁殖してしまったり、もともと潜在性のヘルペスやヒトパピローマとかも粘膜から感染する可能性がある。
「じゃあ八方塞がりじゃん……どうすりゃいいのよ…」って話になってくるんだけど、大丈夫。
現代の科学的には、ウイルスが粘膜に接触して、感染するまでに大体24時間くらいはかかるらしい。
菌に関しても、そんなに脅威的な菌ってのは家の中でそれなりの衛生環境で過ごしてるとあまり存在しない。
つまり、なんらかの特定の菌が異常に繁殖する前、なおかつウイルスが接触しても感染する前に、皮膚から物理的に排除すればいいってこと。
具体的にどうすればいいかというと、24時間以内にシャワーで洗い流す。
それだけでいい。
それだけでいいとは言っても、全身に炎症を起こしてる脱ステロイダーにとっては日常の行動全てが試練だから、けっこうきついとは思うけど、石鹸とか使わなくていいし、お湯を張ったり薬を塗ったりしなくていいから、なんとか優先してこなしたいところ。
浸出液がおさまってきて、上皮化(正常な皮膚ができる)してきたら、そこまで感染には神経を使わなくていいし、そうなるまでには2~3ヶ月もかからんと思うから、なんとか頑張ってほしいなと思う。
運悪く感染してしまったら&見極め方
対策をしてても、運悪く何かに感染してしまった時の対策と、見極め方を書くよ。
ケースとして多いのがやっぱり黄色ブドウ球菌(とびひ)とヘルペス(カポジ水痘様発疹症)かな。
とびひは、湿疹があちこちに広がってしまって、浸出液の量が増えて、何よりいつもより痛くなる。
カポジの場合は、硬く小さめの丘疹(ぷつぷつ)ができて、これもけっこう痛い。
ただでさえステロイド離脱中はいろんな症状が皮膚に起こってるからなかなか見極めにくいとは思うし、対策としては、やっぱり菌の場合は洗い流して乾燥させるってのを徹底するのが一番有効で、カポジの場合は免疫が戻ってきたら自然に消退していくはず。
不安なら病院に行った方がいいけど、ここで最大の注意点がある。
抗生物質の種類や使い方に注意せよ
菌の感染症の治療では、当然、抗生物質が処方されるんだけど、これはもう本当に注意しないと、あとあと大変なことになる可能性があるから、しっかり読んで。
まず、黄色ブドウ球菌(とびひ)に処方してもらうのは「セフェム系抗生物質」くらいにしておいてほしい。薬名はセフカペンピボキシルだったかな。
ヘルペス(カポジ)の場合は「バルトレックス」という薬。
特に抗生物質においては厳守してほしいし、複数の薬を短期間で服用したり、1種類でも長期に渡って服用するのは絶対に避けてほしい。
黄色ブドウ球菌は、毎日着替えて1日1回洗って乾燥させるってのを徹底してれば抗生物質を使わなくても徐々に消退していくし、ヘルペスも然り。
浸出液がひどかったり痛みが強かったりするのを耐えるのがしんどい時に、仕方なく薬に頼ることになるんだけど、リスクの方がデカイ。
抗生物質で食物アレルギーっぽくなる?
詳細は省くけど、人間がいろんな食べ物を食べて栄養にできるのは、腸内に住んでるたくさんの細菌のおかげやねん。
特に植物性の栄養素ってのは、アルカロイドっていう植物毒で、腸内の菌がその毒素を分解して栄養に変えてるって感じ。
人間の細胞は60兆個と言われてるけど、人間の体内や皮膚上で一緒に生きてる菌(共生菌)の数ってのは100兆匹を超えるとも。
それだけ、僕ら人間の体ってのは微生物と切り離せなくて、はるか昔から持ちつ持たれつで助け合いながら生きてきたのよ。
んで、そんな救世主みたいな腸内細菌も、多種多様な抗生物質を使ったり、食品添加物の1つの「乳化剤」や、ポリフェノールやカテキンなど界面活性成分を含むものを摂取しすぎると死滅するし、腸の壁の透過性(薄さ)が上がってしまう。
するとどうなるかと言うと、分解しきれなかったそれらの毒素が腸の壁から血中に漏出(もれる)してしまう。
これを、リーキーガット症候群と言う。過敏性腸症候群とも関連があるって見たことあるけど、どの論文か忘れてしまった、ごめん。
構造的には、胃の出口から腸に向かう途中にパイエル板ってのがあって、食物アレルギーの関所みたいになってるとこなんだけど、そこの壁も薄くなってると、なんにでも反応してしまうようになる可能性があるってこと。
詳しくは割愛するけど、最新の情報では、カテキンとか脂溶性ビタミンなどで癌の罹患率(なりやすさ)が上がったり、皮膚や粘膜に炎症を起こしたり丘疹ができたりする人が居るのね。詳しくは→ビタミンは万病のもと(になる人も居る)
”炎症を起こしたりする人がいる”って書いたのは結局、人によって食品添加物や抗生物質によって腸内の環境がめちゃくちゃになってたり、喫煙や加齢によって抗酸化物質に対する分解能力が下がったりしてて、普通は栄養とかになるようなものでも体にとって毒になってしまう体質になってたり、個体差が大きいってこと。
これには性差も絡んだりするからここではハッキリと言及はできないんだけど、端的に言って、みんなが常識と思ってることが、もう全然真逆だったりするよってこと。
──ちょっと脱線したから戻すと、つまりあんまり感染の症状がつらいからと言って安易に多種多様な抗生物質を使ったり長期に使用すると本当にリスクになるよってことが言いたいわけです。
さらに、ハンパに使うことによって「耐性菌」ってもんができてしまって、抗生物質が効きにくい菌が爆誕してしまって、より一層、難治化・長期化するパターンもあるから、本当に、抗生物質の安易な使用には充分注意してほしいと思う。
感染は外からだけじゃない
ここまで書いたのは、当然皮膚においては外からの感染が多いわけなんだけど、中には内部から感染したりする場合もあるってことを強調したい。
どういうことかと言うと、ヘルペスはもちろん日本人の約6割が保有してるって統計もあるウイルスで、元気な時はそれが潜伏してて、免疫力が低下すると帯状疱疹とかカポジになったりするわけだけど、それじゃなくて、菌も内部から感染するかもって話。
さっき書いたとおり、腸内の細菌の種類や数のバランスがいろんな原因で変わることによって、食べる物や飲む物に変な反応を起こす。
すると、食べ物の中には、発酵・熟成・醸造といった、菌の力を借りて作られる食べ物が多く存在していて、普通ならそれらは体にとって有益になるはずなのに、それらへの抵抗性がなくなって、それらの菌自体が体の中から感染したりなんらかの影響や症状を起こしかねないってこと。
なんせそれらの菌はたんぱく質を分解するからね。
人間の体のほとんどはたんぱく質で出来てるし。
そうなると、体の中の一番深い部分からの内部感染ってことになるから、症状が全身に及んでめちゃくちゃ重篤になったり長期化したり、それだけ激しい炎症が起きると粘膜も皮膚も瘢痕化(白く固くなって痕が残る)してしまって、皮膚なんかも肥厚苔癬化(ぶ厚くなって白くなる、言わば一生キズ)してしまって、それこそ数年に渡って抱えて悩まなきゃいけない事態にもなり得るねん。
さらに、もしその症状が出る場所が消化器や呼吸器っていう内臓やった場合は、機能不全を起こす可能性もあって、前述した抵抗性の低下や変な反応も亢進してしまったりする。
今の医療ではそういう原因は理解されないし、この知識は医療にはまだ下りてきてないものだから「原因不明」で済まされて、福祉的にも障害とも見なされずに「謎の不定愁訴(体調不良)」という括りになってしまう。
そうなったらもう、QOL(Quality Of Life)なんてあったもんじゃなくなるし、ステロイドのみならずあらゆる不調に薬や生活習慣で対策しなければならなくなるから、マジで注意しないと後悔どころの騒ぎじゃなくなる。
なので、薬を使うなら本当に慎重になってね、というお話でした。
またでbye。

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