このサイトで発信するステロイド離脱系の情報は、もう「脱ステ」とか「ステロイド」とかって言葉を大体知ってる人向けやから、あしからず。
僕自身は、脱ステって言葉はあんまり正確じゃないなぁって思ってて、本来は「ステロイド中止・断薬」って表現が正しい気がするんだけど、便宜上、一番ポピュラーであろう”脱ステ”って言葉を使ってる感じ。
僕のステロイドに関する考え方とかはこれ読んでもらって
→ステロイド離脱症状が出る時期
脱ステして数年経っても治らない成人型アトピーや喘息の症状を寛解まで持ってく方法や、治らない原因についての説明は、今後わかりやすくまとめて出してくつもりだけど、待ちきれないぞうさん(古)は、僕が数年間で収集した有益な学術記事や科学論文を紹介しとくね。
→参考文献集
※全然まとまってないからかなり乱雑になってるけど勘弁~。
んで、今回は、脱ステ期間中に立ちはだかる数ある難関の中でもトップ1~2を争うくらいの難関、入浴とか衛生面の話をしようと思うよ。
結論からまず話すと、皮膚がふやけるくらいお風呂に浸かるのはNG。
そして人間の皮膚にとって「洗う」という行為は科学的に考えると「不衛生にしてるのと同じ」なんですよー。
詳しく書いてくね。
湿潤療法という最強の創傷治療と”例外”
昔から「傷」ってのは、「キレイに洗って乾かしてかさぶたを作って治せ」ってのがセオリーで、近年までずっとそれは医療の間でも常識とされてきたんだけど、どうやら科学的に考えてそれはデマでしたってことが最近わかったようで。
というのも、夏井睦先生という方が提唱なさった説で、書籍もいくつか出されてるんだけど、これまでのやり方では皮膚移植が必要とされてたようなヤケドの傷なども、「消毒をせずに乾かさずに常に保湿した状態」にしとくと移植せずに上皮化(皮膚ができあがること)されて完治する、という魔法のような夢のようなもの。
夏井医師がわかりやすい書籍を出されてるから是非。
かいつまんで説明すると、傷が治るってのは当然、細胞分裂によって修復されてくことを言うんだけど、この細胞分裂ってのは乾燥してるとうまくいかない。
そりゃ、分裂するための元になる細胞が、乾燥したら死んでしまうわけやから、当然やんな。
それに、消毒も、傷を治すどころか全くの逆効果で、治癒を遅らせる最悪な行為。
なぜなら、菌ってのは良いとか悪いとかではなくて、どんな種類の菌がどれくらいの数いてるのかっていうバランスの問題であって、そもそも菌を全滅させるってのは体の機能をバグらせることに他ならないんですよ。
どういうことかというと、人間の体には、皮膚にも内臓にも「共生菌」ってのが存在してて、たとえば皮膚の共生菌なら、体にとって有害な微生物を菌が食べてくれたり、保湿するための脂質が過剰になった時に分解をしてくれたり、バリアとして機能してるねんな。
消化器系においても、僕らが何かを食べてそれが栄養になるのも、実はほぼ全て共生菌の分解能力のおかげやねん。
共生菌が、食べたものを分解して、別の成分を生み出してくれたりするから健康で居られるわけで、もしその共生菌を抗生物質とかをたくさん使って全滅させたら、人間は普通に食事できなくなるねん。
できなくなるっていうか、食べたもののほとんどが栄養じゃなくて毒素のまんま、みたいな状態になって、いろんな体調不良が起こったりする。
体調不良どころか、ガンになりやすくなる理由の1つでもあるくらい、僕らと菌の持ちつ持たれつな関係は切り離してはならないねん。
これはあまり深堀りすると脱線するから今回は割愛するで。
とにかく、消毒したり乾燥させるってのは傷の治りを遅くしたり、治らなくさせる行為やからやめようねってこと。
長年、傷ってのは乾燥して治せって常識やったから、思い込みって怖いんですよ。
我々一般人が、”皮膚科のエキスパート”と思ってるお医者さんたちですら、何十年も一切この当たり前の事実に気付かなかったんだから。
でもここで強調したいのは、アトピーや脱ステ時のリバウンドにおいては、例外があるってこと。
乳幼児湿疹においては、乾燥をさけて保湿を徹底するとアトピーの発症率を下げられるっていうデータもあるんだけど、どうも成人型アトピーとか、ある程度成長してからのアトピーにおいては、そうじゃないケースもあるようで。
どういうことかと言うと、保湿するほど治りが遅くなって炎症が起き続けるっていう臨床例が少なくないらしいの。
これは、実際に患者さんごとに試してみるしか見極めができない状態で、常日頃から保湿してても炎症がおさまらなかったり、それどころか炎症がひどくなってくるような患者さんは、アプローチを変えて、一度乾燥させて数週間は様子みてみる必要があるのよ。
ヒルドイドは、界面活性成分だから、洗うと皮脂も一緒に全部流れていって結果的に超乾燥するってのは当然なんだけど、ワセリンでも悪化するってのは未だに原因がはっきりとはわからん。目星はつくけど。
分子量200そこらの精製ワセリンをびらん面とか粘膜に塗ると血中に浸透しすぎてアレルギー反応起こすのか、はたまた何か別のものに反応して起きてる炎症で、皮膚から身体にとっての不純物を排泄しようとしてるのにワセリンでフタをする形になるから妨げになってるのか……この点はまだまだこれから追求してこうと思う。
・「皮膚を乾燥させて治す」は科学的に間違ってる
・人間の健康は共生微生物によって保たれる
・感染してもないのに消毒と乾燥は細胞を破壊するだけ
・脱ステ中の保湿は最小限にしよう
入浴中は安らぎだけど後から地獄が待つ
やっぱり、脱ステ中に一番きついのは、関節とかが乾燥して、湿疹や傷が裂ける痛みや浸出液の漏れだったりするんだけど、入浴中だけは唯一この呪いから解放される至福のひとときやと思うねんな。
でもでもここに落とし穴があって、後からかなり苦しむことになったりする。
どういうことかと言うと、人間の皮膚ってのは言わずもがなタンパク質でできていて、タンパク質ってのは42度前後で変性するんですなこれが。
変性ってのは、簡単に言うと”もろくなる”ってこと。
ただでさえ湿潤びらんでジュクジュクになってたり、湿疹で皮膚の組織がボロボロになってるところに、お湯に浸かるって行為によって浸透圧と熱でさらに脆くなってしまうってこと。
それだけじゃなくて、お風呂に入ってる時間が長ければ長いほど、体が温まってきて、毛細血管も広がって体温が外部から上昇させられるって現象が起きるから、神経が過敏になって、ただでさえ脱ステ中の激しい痒みがもっともっと増長されてしまう。
怖いのはこれだけじゃないよ。
お風呂に入るってことは、さっき話した共生菌を洗い流してしまうことでもあって、石鹸なんて使って洗おうもんなら、皮膚常在菌も全滅して、さらに石鹸のアルカリ成分によって、なんとか皮膚上に留まった一番安全な自分の皮脂もごっそり洗い流されて、基本的には弱酸性で維持されてる皮膚のph(ペーハー)がアルカリ寄りになってバリアも失われる。
すると、さてどうなる??
本当に悪い菌やウイルスの感染症にかかりやすくなるってこと。
……………どれだけ我々が常識としてる「キレイ」とか「衛生的」って言葉が幻で、理想とは真逆の行為を毎日してて、それがどれだけ愚かで怖いかってことがよくわかるやろ。
どれだけ健康な人でも、こういう間違った常識に沿って生きてたら、いくらでも病気になってくよーん。
・人間の皮膚は42℃前後でもろくなる
・お湯に浸かると浸透圧もあってもっともろくなる
・体が温かくなると神経過敏でかゆみが強くなる
・皮膚を洗うと感染症になりやすい
本当に皮膚を「キレイ」に保つには
じゃあどうしたらいいの、お風呂入っちゃダメなのって思うかもしれんけど、あながち間違いじゃなくて、夏場だったら本当にカラスの行水というか、サッとシャワーを浴びるだけってのが一番皮膚のためには真の意味で衛生的やねん。
「それじゃ汚れが落ちた気がしない……」って思うかもしれんけど、それ自体がもう洗脳とか思い込みで、人間の体から出てくる老廃物ってのは完全に水溶性なんだよ。
脂質でさえ、酸化して「過酸化脂質」になると水溶性やねん。
というか水道水自体が、次亜塩素酸ナトリウムっていう消毒の成分が溶け込んでて、シャワーをじかに皮膚に当てると揮発する前に接触してるわけやから、それなりに洗浄力があるし。
サッとシャワーして流れない皮脂とかってのは、まだ洗い流すべきじゃない、身体にとって必要なものってことやねん。
とは言っても、脂症でギットギトの皮膚の人ってのも中には居ると思うねんけど、そういう人は皮膚がどうのこうのってよりは、体内に問題があるから、食事と運動のバランスを見直すほうが何倍も重要。
ということで、脱ステ中の人にとっては唯一の天国であろう入浴時間ってのが削られるのは相当精神的にもストレスかもしれへんけど、どう考えたって皮膚をもろくすることも常在菌を滅ぼすことも、皮膚の治癒には悪影響しかないから、割り切ってシャワーをさっと済ますだけにしたほうがいいですよん。
ちなみに、「タバコや焼き肉とかの煙」ってのが髪の毛につくと、実はこれだけはシャワーだけで落ちないねん。
だから、なるべく原材料や成分の数が少ないシンプルなシャンプーを、髪の毛の根元らへんを避けて手ぐしで馴染ませる感じでつけて、すぐに洗い流すって方法で対処して。
・「本当のキレイ」と「精神衛生上のキレイ」は完全に別
・人間の体から出る老廃物は水溶性(石鹸類を使う必要がない)
・脂ギッシュな人が洗いすぎると悪化する可能性あり
・ニオイはシャワーだけで落ちないから優しいシャンプーを使おう
冬場の寒さしのぎと風呂上がりの乾燥について
シャワーだけにしよう!とは言っても、クソ寒い冬にシャワーだけして風呂場から出るなんて一体どんな修行やねんって思うよな。
うん、ありゃマジで耐え難い修行やと思ったわ。
だから、予め脱衣所にはハロゲンやヒーターを置いて、入浴の30分くらい前から部屋を温めておくといいよ。
というか、また別の記事で書くつもりやけど、本当に離脱症状が激しい人はそもそも普段から服を着るのもためらうくらいの浸出液とびらん面の多さやと思うし、冬場は、ロシアの寒い地方みたいに、家中を一定の温度と湿度に保つっていう環境を作るのがかなり重要。
理想は、家の中では「裸族」で居ることに慣れるのが一番いいねん。
洗濯とか入浴とか、衣類とか寝具とか、そういう一連の「本来なら特に何も考えなくても良いこと」でも、ステロイドのリバウンド全盛期ってのは1つ1つが真剣な戦いになるやん?(経験した人は無言でうなずくと思う)
精神的にまだ安定してる時はなんとかこなせるけど、痛みや不快感や自己嫌悪とかで参ってしまった時ってのはもう全てが煩わしくて、服を着る時さえも全神経を集中させて痛みに耐えなければならなかったりとかで、本当に、どれだけそういうストレスを減らすかって考え方や、それぞれの方法の改善ってのが重要になってくるねん。
できるだけ、「皮膚を何にも接触させない」ってのがストレスを軽減する上でキーポイント。
そこを主軸にして、家での過ごし方を見直すことをおすすめするよ。
ちょっと脱線したけど、乾燥や、傷の裂ける痛みの緩和については、これはもう仕方なく白色ワセリン使おう。
ワセリンで著しく悪化する人はおすすめしないけど、どうしても裂けた傷が痛いところにだけ、めっちゃ薄くワセリンを塗ると、かなり痛みは緩和される。
んーー……できれば乾燥の痛みに耐えたり慣れる方が後々「戦える」し「掻いてえぐる可能性」を減らせるけど、あまり痛くてもストレスがたまるし、そのへんの判断は自分でしてみて。
・冬は脱衣所をヒーターで温めてからシャワーしよう
・家中を一定温度に保てるなら裸族がベスト
・乾燥や裂傷にはワセリンを使おう
秘技・全身ドライヤー(やりすぎ注意)
あまりにびらん面が多かったり傷や湿疹が広範囲に渡ってると、入浴後にタオルで拭くことすら拷問レベルになると思うねん。
あと、浸出液が出すぎて服に張り付く感覚と、ワセリンによって張り付く感覚の、どちらが不快かは人によって違うと思うねんけど、僕的には浸出液で張り付いてそれが乾燥して衣服に張り付くほうがワセリンの何百倍もストレスやってんな。
そこで、この2つの問題を解決するべく僕が考えて編み出した秘技が、入浴後に、
全身濡れたままワセリンを薄く伸ばして、拭かずにそのまま全身にドライヤーする
っていうかなりの荒業。
さっきも言った通り、とりあえず皮膚に何かが接触することをなんとしても避けたかったから、この方法は一石三鳥になって我ながら功を奏したと思う。
入浴後の乾燥も避けられるし、タオルで拭く時の痛みや傷のえぐりも抑えられるし、一時的に浸出液も乾くという。
その後はベッドに一直線ですよ。(笑)
・タオルで拭くのが痛いなら体が濡れたままワセリンを塗ってからドライヤーで乾かそう
⚡キケン!絶対にしてはいけない「熱でかゆみを抑える」
注意が必要なのは、ドライヤーの熱が痒いところに当たると、掻くよりも気持ちいいから熱風を長い時間あててしまいたくなるかもしれんけど、それはマジであかんで。
どれくらいあかんかというと、痒いからって思いっきり全力で掻きまくるよりもあかんことやねん。
なぜなら、さっきも言ったとおり、皮膚はタンパク質でできていて、42度前後で変性するやん?
ドライヤーの熱なんて42度どころじゃないし、その42度から温度がどんどん高くなっていくほどにタンパク質の破壊も比例して進行して、しかもそれが深くまで達してしまうねん。
すると、最悪の場合はその炎症部分がずーーと一生傷になって瘢痕(白い傷痕)が残ってしまう。
それだけは絶対に避けたいだろうから、「熱による痒みの緩和」ってのは絶対にしてはいけない。
熱風とか、熱いお湯とか、熱した何かをタオルで包んで皮膚に当てるとか、もう、とりあえず熱でなんとかしようとはするな。
一生後悔したくないなら、これだけは本当に守ったほうがいい。
代わりに保冷剤をタオルかラップに巻いて冷やして。
薄めの板タイプがおすすめ。
ダイソーでも似たようなの売ってるから、数枚買って冷凍庫に置いとくといいよ。
・絶対に絶対に絶対に、かゆみを熱で対策してはいけない
・保冷剤で冷やそう
まとめ
・入浴は年中シャワーのみで良い
・髪についた煙のニオイには優しいシャンプー使おう
・裸族に抵抗なければ裸族でいい
・かゆい時は保冷剤で冷やそう
入浴に関してはこんなところ。
本末転倒だけど、別にお風呂とかシャワーとかしなくても平気な人ってのは、脱ステの才能があると言えるくらい、しなくていいよ。
服を着たいなら着替えは毎日したほうがいいけど。
他のことについては、また別で細かく書いてくわ。
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